No.5「啓発ちゃんがウザイ件」
先日街コンに初めて行った。その日有給をとってポケモンSVをクリアしてその他にやることがなかったからだ。どうせならやったことのないことをしようと思い、当日参加できる街コンに1人で乗り込んできた。この機会に街コンとは何ぞやというものが知れたら万々歳だ、と言う程度のノリだ。
本題は街コンの話じゃないので割愛するが、そこである女性と知り合って先日2人で居酒屋に行ってきた。
相手が年上だということもあり、少し緊張した。
話す内容は仕事の話や前の街コンの話など色々だったが、「街コンにどうして参加したのか、何を求めていたのか」と聞かれたので、冒頭に述べた話をした。
すると相手は「私は人脈を広げたいし、後々そこでつながったことが有益になるかもしれないじゃない?君もそう思うでしょう?」と言ってきた。
私は「その意見は尊重されるべきだが、私は狭く深くの人間関係で満足している」と答えた。人脈を広げることによる自分の精神リソースが大きいし、そもそも浅い関係の人間と付き合いたくないのだ。もちろん人脈によって得られる恩恵はあるのは否定しないがそれはあくまでも副次的なものとして捉えている。
しかし私が言ってもなお相手はそれを「正」として押し付けてきた。ここでこの人とは仲良くなれないなと思うわけだが。
私は猫かぶりを解いてありのままで話すことを決意した。そもそも正しいか正しくないかは個人の考えによるものだし、私は他人にそれを押し付けたくないし、個人の考えは尊重するべきだ、と。
相手は「明らかに正しいことは他人に諭すべきだ」と言う。果たして「明らかに正しい」とは何をもって判定するのだろうか。とりあえず私は「私の定義上、公序良俗に反する行為は諭しても良いと思うけれど、それ以外は他人の勝手だろう。相手から考えを求められたら言ってあげればいい」と言っておいた。
以降、そのような水掛け論が続いたのでこれ以上は割愛するが、最後にとても憤慨したことを一つ。
相手に将来の夢を訊かれた。私は今のところ世界観とか物語を考えることが好きだと思っているから小説出版をしてみたい、ただこれまで小説をそこまで読んだことがないし執筆したことがないから下地の能力を養っている最中だ、ゆくゆくは小説を応募するつもりだと答えた。
すると相手は「君の語り方は二重否定が入っていて苦しそうだった」と言ってきた。これにはさすがにカチンときた。
私は自分の語り方の指導を受けに来たわけじゃない。それに二重否定が入ることが間違いとは思わない。苦しそうってなんだよ。夢を追いかける人間が皆、希望を持っていると思ったら大間違いなんだよ。
ついには「マイナスな気持ちに引っ張られて楽しくなかった」という始末。
彼女たち、啓発ちゃんは自分の価値観を「正」とするばかりではなくそれを押し付けてくるのだ。セールスお断りの紙を貼っていても押し入りするセールスのように。前に友人と話していたときに彼らは「SIREN」のゲームに出てくる「屍人」だと言っていたがあれは言い得て妙だ。自分の世界が輝かしく見えるからそこが黄泉の世界であろうと、一般人から酷く見られようと押し付けてくる。
以上、啓発ちゃんがウザイ件でした。
私 お茶の間ぽんこ @gatan
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