7.Cランククエスト
翌日、ルークがギルドへ向かうと、受付のお姉さんがCランクのライセンスを手渡してきた。
「ギルド内の審査、すぐに通りました!」
「ありがとうございます!」
ルークは銀色に輝くライセンスを受け取る。
Cランクのライセンスがあれば、大抵のクエストは受けられる。
言い換えると、これで強い敵と戦いたい放題ということになる。
「早速なんですけど、Cランクのクエストを受けたいです」
ルークが言うと、お姉さんはすぐに受付のデスクから数枚の紙を取りだした。
「いまあるCランクのクエストはこんな感じです!」
ルークは案件を吟味する。そしてその中でもっとも難易度が高そうなものを選んだ。
「これでお願いします」
「火竜山のリザードマン退治ですね。ソロで討伐するなら、これがいいかもしれませんね。ただ、火竜山には、大型のドラゴンもいますから気を付けてくださいね。ルークさんがお強いのはわかっていますが、さすがにドラゴンに一人で勝つなんて無理ですから。遭遇したら必ず逃げてください」
「ええ、わかりました。気を付けます」
ルークはそう返事をした。
が、内心では、
(せっかくならドラゴンと戦ってみたいな……)
と、そんな無謀なことを考えていたのだった。
†
ルークは<火竜山>の入り口にたどり着く。
Cランクライセンスがないと立ち入れない。つまり、強力なモンスターがうじゃうじゃいる場所である。
「よし、行こう」
しかし、ルークは躊躇なく足を踏み入れる。
そして、20分ほど歩いていくと、早速モンスターに遭遇した。
「リザードマン!」
剣を持った人型のモンスター。
強力な魔力を持ち、高い攻撃力・防御力を持つ魔物である。
ルークも存在は知っていたが、実際に相手にするのは初めてであった。
その佇まいだけでも、強力さが伺える。
ルークは、剣を引き抜き全速力で斬りかぶった。
「ハッ!!!」
だが、その斬撃は、リザードマンに簡単に受け止められてしまう。
そして、リザードマンが口から放ったファイヤーボールによってルークは吹き飛ばされる。
「うッ!!!」
いきなり結界(ライフ)は半分以下になった。
ルークは所詮まだレベル1の駆け出し。素のステータスはCランクの敵を前にすれば貧弱だ。ただの一撃で、あっという間に「危険水域」に達してしまった。
だがそれで問題なかった。
通常なら、結界(ライフ)が半分以下になった場合撤退を考えるべきだ。
だが、ルークの場合――ここからが本番だった。
<闘争本能>によって、結界が削られた分、ステータスが上昇する。
それによって、Cランクモンスターと戦えるステータスになるのだ。
「いくぞ!」
ルークは上がったステータスを利用して、反撃する。
振りかぶった上段。リザードマンは先ほどと同様それを受け止めようとするが、今回の力比べは、ルークの勝ちであった。
押し切られ、体勢を崩したリザードマン。
そして、その隙に、ルークはさらに横なぎの一閃。
「グアッ!!」
リザードマンはうめき声を上げて膝をつく。
だがルークは手を緩めない。洗練された剣術で、すかさず次の一撃、さらにもう一撃と繰り出す。
そうして、リザードマンは一方的に倒された。
「うん、やっぱり」
ルークは確信した。
「ライフが半分以下なら、Cランクモンスターは余裕みたいだ」
昨日、ギルドでは「Cランクレベル」という判定を受けて、ライセンスを発行してもらったが、その時は、結界が半分以上に回復してしまっていた。それゆえ<闘争本能>の強化は弱まっていたのである。
それでもCランクレベルと判定されたということは結界が半分以下になっていれば、Bランクかそれに近い力はあるということだ。
だから、Cランクの魔物は余裕で倒せる。
しかも、
「<ステータス>」
ルークがそう唱えると、ステータスが空中に浮かび上がる。
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ステータス : ルーク・スプリングスティーン
レベル1(2,009/10,000)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
当然、まだレベルは1。
だが、既に経験値は2,000を超えている。
これは、通常なら半年から1年かけてたどり着く水準である。
それなのに、ルークはたった一日でここまで経験値を稼いでしまった。
この分なら、あっという間にレベル2に上がってしまうだろう。
「これなら、すぐにドラゴンとも戦えるようになるかも?」
†
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