第11話 夏に向けて
少しずつ暑さが続くようになり、いきなり気温が下がって、また上がると体にくる。
体調に気を付けていかないと。
今年は帰省はしない。
成人式には出たいが、必ず出たいとは思わない。
ここにいて、流れるように過ごした方が楽だから。
もしかすると、
期待している自分、気持ち悪いかな。
「ふぅ…」
一息吐く。
テストからの解放である。
2年までは単位確保するという目標で、時間割が地獄状態だが、3年からは就活を見越して考えると、今頑張るのは良いのかもしれない。
余裕を持って就活をしたいので。
さて、帰ろうか。
直ぐ寝よう。眠気が本当にヤバいから。
鞄を持って、教室を出た。
※
アパートに着くと、すれ違いで清瀬さんが部屋から出てきた。
「お疲れ様、テスト終わったね」
「お疲れ様です、疲れました」
「そかそか♪」
笑顔の清瀬さん。
今日も今日とてお美しい限りです。
「今から買い物ですか?」
「そうだよ。一緒に行く?」
誘われた。
「はい、行きます」
「じゃあ、また一緒にご飯食べよ?」
「良いですね。この前は清瀬さんの所だったので、今日は俺の部屋で」
「良いの?なら、お邪魔します!」
一緒にご飯を食べることとなった。
※
「夏休み?」
「はい、どう過ごされるかなと…」
一緒にご飯を食べながら、目の前にいる清瀬さんに、夏休みの過ごし方を聞いてみた。
「帰省はしないけど、就活準備が中心になるかも」
「なるほど」
3年って忙しいのかな?
「
「夏のイベントに参加は?」
「お祭りかぁ~、良いよね!」
どうなら、
特にないなら、誘ったって良いだろう。
「他にないなら、俺とどっか行きませんか?」
「えっ?」
どっか行きませんか?…って何を言ってんだ!?
間違ってはいないが、言葉の遣い方が間違っている。
清瀬さんの様子を見ると、考えていた。
考えてくれている、嬉しいっす。
すると、ニコッと清瀬さんは笑顔で一言。
「良いよ!」
マジか!?
「お祭りなんか、どう?」
イベントに合わせた。
1から考えるデートより、イベントに合わせた方が良いし、楽しいだろう。
「分かりました、祭りに行きましょう」
「当日はエスコートをよろしくね?」
うっ…ドキッとした。
「頑張ります」
こうして俺と清瀬さんは、8月に行われる祭りに一緒に行くこととなった。
作ったナポリタン、いつもよりも美味く感じた。
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