第2話
「そ、それは………」
「私が家にいるとまるで野ネズミが徘徊している程に#汚らわしい__・__#、#汚い__・__#と思いになるのですか?」
「ち、違う……」
「ならば、何故、早く追い出そうとするのですか?それに、付き合うのに先に告白したのも貴方、その付き合いをないがしろにしようとしているのも貴方。ならば、悪人となるのは、貴方ですよね?」
「わ、悪かった!そのことに関しては本当に悪かった!許してくれ。どうかこんな憐れな男を。金なら、いくらでも払うから!」
恐らく、というか、ほぼそうだ。あの様子。私を一刻も早く家から追い出そうとしている様子、既に新しい女がいるのだろう。というか、私と別れようとしている理由も、その#新しい女__・__#がたまらなく可愛いからであろう。
所詮はこんなものか、公爵令息。なんというクズだろうか。
「分かりました。ならば一刻も早くに出ていきますわ。私もだんだん、貴方のような野ネズミのような汚らわしい顔を見たくなくなってきました。不快です。」
ムローラは土下座をした。
「すまない……すまない……お金を用意するから……」
「ご心配なく。私は#そんな汚らわしい__・__#お金は要りません。さようなら、世界一クズで最低なゴミ令息…」
私は、勢いよくドアを開けては閉め、すぐに家から出ていく準備をした。
その様子を見た執事の女性は、すぐさま私に駆けつけてきた。
「ど!どうなさいましたか!?お嬢様!?」
「私は出ていくことにしました。どうやらあの#ムローラ__クズ男__#に私の代わりの女が出来たようです。」
話の内容を理解した執事の女性は、「すぐに出ていくのですか?」と、私を止めるかのように声をかけるが、執事の女性には悪いが、私は完全に無視し、家を早々に出ていった。
(二度と戻って来るか、こんなドブ池みたいな家………)
とはいえ、あの#ムローラ__クズ男__#の父親、フローラ公爵は何とも優しい方であった。妻のミラノ伯爵令嬢も温厚な方であり、優しくて温かい貴族の家族であったが、何故、あんなのが生まれたのであろうか。
(行く宛も無くて出ていったけど、どうしよう。とりあえず、実家に行こう。)
実家は一応貴族の家系だ。私も、父のエバーナ侯爵の娘なので、侯爵令嬢となる。
(事情を話せば、ずっと居候させてくれるかな…)
▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️
「り、リニャーサお嬢様!?どうしたのです?こんな夜分に……」
「突然訪ねてごめんなさい。家族を皆起こしてくださるかしら……」
そう言って、執事に頼んで家族を皆起こしてもらった。
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