時は刻々と

 駐車場の空いてるスペースに車を停め、ショッピングモールを視て廻る事になってるけど、お目当ては紫音ちゃんと綾音ちゃんの玩具とフードコートでの休憩よね。

 お買い物の邪魔になるあたしの荷物は車内にそのまま置いてくわ。

 バックパックだから持って歩く事も出来るけど必要ないからね。


 あたしは紫音ちゃんを、彩華さんは綾音ちゃんのシートベルトを外してチャイルドシートから降ろしてあげる。

 もう車外で待ってる師匠と璃央さんが、ステップから一人ずつ抱き上げて車から降ろすと、彩華さん、あたしの順で降りて先ずは玩具屋さんから視て廻る事になったわ。

 あたしは初めて逢った時と同様にお手々を繋ぎ、両脇の紫音ちゃんと綾音ちゃんの歩幅に合わせてゆっくりと歩く。

 こんなに可愛らしい達を両手に華で連れてるなんて幸せね。

 優越感って云うの? どこか誇らしげな気分になるわ。


「そうしてると弥生ちゃんが本当のママみたいね。ふふふ」


「嬉しいです。紫音ちゃんと綾音ちゃん達なら本当のママになりたいですもの」



「それじゃぁ、紫音か綾音のどっちかお持ち帰りする?」


「良いんですかっ。本当にお持ち帰りしちゃいますよぉ」


「でも悪戯三昧で大変よぉ。眼を離すと直ぐよ。スグ」


「元気が在って良いじゃ無いですか。子供は元気が一番ってよく云いますし」


「元気過ぎなければねぇ。この娘達って競い合って悪戯するからお義母さんにもしょっちゅう叱られてるわよ」


「悪戯って愉しいですものね。彩華さんの血が濃いんですよ。きっと」


「あらまぁ。弥生ちゃんも云うわねぇ。ふふ」


「でもあたしには、紫音ちゃんと綾音ちゃんのどっちも、可愛らしくて選べないから無理かもですね」


「弥生ちゃんも充分に可愛らしいわよ。そうでしょ? 璃央君」


「おっ! 突然振って来ないでよ。びっくりするから」


「璃央。本当にお前って奴はしょうがないねぇ。『そうだ』と云えば済むってのに思春期の子供じゃ在るまいし、何を照れてるんだか」


「そうそう。お義母さんの云う通りよ。もうっ」


「そうそう。婆ぁばと彩華さんの云う通りよ」


「おにぃちゃん。そーそー」


「そうよ。ねぇねは  かわいいのよ。でもわたしも かわいいんだきゃらね」


「あっ。俺はこの中じゃマイノリティだったの実感したわ。降参しますよ。降参っ」



 お買い物のお客さんで溢れてるモールでも、大人が四人と小さな子供を二人を連れて歩いてると目立つみたいね。

 擦れ違う人達から時々漏れ聞こえる会話が『あの娘達って双子ちゃんかしら?』とか『どっちがママなの?』とか『家族で仲が良いわね』等々、枚挙に暇が無いくらいに心なし胸を張りたくなる声ばかりよ。


 あたしと彩華さんのどちらが双子ちゃんのママでも不自然には視えないみたいね。

 男性は璃央さんしか居ないから、パパ役は一択で会話のネタにはならないらしい。

 それは師匠も同様でお祖母様役一択ね。

 でも師匠は役じゃなくて本当に婆ぁばなんだけどっ。



「お前達、何か欲しい玩具は在ったのかい?」


「う~ん。ほしいのない」


「わたしも ないのよ」


「それじゃぁ、今日は玩具を買ってあげないよ。それで良いかい?」


「「いやぁぁあっ!」」


「欲しいのが無いんじゃ仕方ないじゃないか。それでなくても爺ぃじが勝手に買って来て、山ほど持ってるんだから」


「ばぁば。おもちゃ いらないから アニメほしい」


「うん。わたしもアニメっ」


「あぁ。アニメのビデオかい? DVDって云ったっけ? どうだい彩華」


「そうね。DVDなら嵩張らないし、お夕飯作る時も観せておけば大人しくしてるから良いかも」


「そうと決まったら店に行くとしようか。迷子になるんじゃないよ」


「「うんっ!」」


 あたしと璃央さんは外野って感じがしたから、蚊帳の外に居てお話しに口は挟まなかったけどDVDは良いアイディアね。

 おもちゃ屋さんに入るまでの紫音ちゃんはキラキラした瞳で嬉しそうにしていて、売り場を先頭で視て廻る内に少しずつ残念そうに曇っていっちゃったの。

 それはきっと欲しいものが無かったからなのね。


 そして綾音ちゃんはと云うと。

 紫音ちゃんとは対照的に、最初からおもちゃにはあまり関心を示して無かったわ。

 一緒に視て廻ってたけど、眺めてるだけって感じに反応は薄かったのよ。

 本当は最初からDVDが欲しかったのかも知れないわね。

 その証拠に、いまの綾音ちゃんは嬉しそうな顔に豹変してキラキラした瞳だもの。

 とても解り易くて可愛いわ。ふふふ。


 紫音ちゃんったら、いまにも駆け出しそうな勢いでスキップして、綾音ちゃんは速足でもどかしそうにあたしを引っ張るみたいにして先導するの。可愛らしいでしょ?

 時々、彩華さんに窘められて少しだけゆっくり歩くけど、直ぐまた同じ状況になっての繰り返し。

 小さな子供は特にだけど、夢中になると周りが視えなくなっちゃうから、ここはあたしが確り二人の手を離さないように注意してあげなきゃね。

 そんなに大規模じゃないけどそれなりの広さが在るショッピングモールだから、手が離れちゃったら確実に迷子にしちゃうものね。

 だからあたしの責任は重大なの。気は抜けないわ。


 双子ちゃん達はこのモールに何度も来てる様子で、お目当てのお店の場所と路順は覚えてるみたいなの。

 興味が在る事に信じられないような集中力を発揮するのは、大人も子供も大差無いって解ったわ。

 寧ろ大人のように余計なことが頭を過ぎったりしない分、子供の方がそれが顕著に出るのかも知れないのだけど。


 最初に行ったおもちゃ屋さんは二階で、これから行くDVDショップは三階に在るらしいの。

 エスカレーターの場所も、お店が何階に在るかも把握してるって凄い事じゃない。

 これが璃央さんなら当たり前過ぎて驚きも感心もしないけど、まだ四歳の子供なのよ。

 あたしの身近には小さい子供が居ないから比較は出来ないけど、天性の才能なのかも知れないし、ひょっとしたら天才児なのかも。

 そうだったらあたしは自慢出来るじゃない?


『あの天才児とお手々繋いでお買い物した事が在るのよっ!』って。


 チッチャイ。アナタ チッチャスギル ワヨ。


 ふふ~ん。小っちゃくて良いわよ。

 だってあたしは紫音ちゃんと綾音ちゃんの事が大好きなんだから。



「へぇ。かなり広い売り場面積のお店なんですね」


「そうねぇ。DVDだけじゃなくて本や雑誌、それに音楽メディアなんかも一緒に売ってるお店だから、この位の面積は必要なんじゃないかしらね」


「ママ わたし アレ みてきて いい?」


「わたし アレ みりゅの」


「良いわよ。二人で行ってらっしゃい。でも二人バラバラは駄目よ」


「うん。あやねからでいいよぉ」


「あっ! 待って。あたしも行くから。迷子になっちゃうわ」


「大~丈~夫よぉ。あの娘達が行く棚なら分かってるから。それに少しは自由にさせてあげないと退屈しちゃうし、自主性も育ってくれないのよ。だからこの売り場の中だけ自由にさせて少し離れた所から眺めてれば良いの。出入口もここ一つだけだから心配もないわ」


「そうなんですか。それなら良かったです。結構広いモールだから手が離れちゃったら迷子にしちゃうって気が気じゃ無かったんですよ」


「それじゃ、俺はいつもの棚で雑誌を探して来るね」


「はぁい。宜しくねぇ~」



 璃央さんは彩華さんにそう云うと、スタスタとお目当てが在るらしき棚に向かって歩いて行っちゃったわ。

 でもちょっと無責任な気がするけど?

 紫音ちゃんと綾音ちゃんが心配じゃ無いのかしらね。

 あんなに懐いてるって云うのに。



「彩華さん。宜しくってどう云う意味なんですか?」


「あれはね、璃央君のカモフラージュに対するカウンターよ。口ではあんな事云って本当は見張りに行ったの。雑誌のコーナーとあの娘達が行く棚って近くで眼が届くのよ。素っ気なくしてる心算らしいけど過保護なんだから。当の本人は見張りに行ってるのを私達にバレてると思って無いけどね」


「なるほど。納得しました。子煩悩なパパさんって感じなんですね」


「そんな感じかなぁ。でも透真さんは過保護すぎてベッタリだから、逆にあの娘達が離れたがっちゃうの。ほら、弥生ちゃん視てみて。璃央君は雑誌を眺めてる心算みたいだけどチラチラ顔を上げるでしょ? あれでバレない方が不思議よね。ふふふ」


「本当ですね。あれじゃバレバレですねぇ。あっ! 眼が合った。悪戯がバレた子供みたいで可笑しい」



 またまた璃央さんの意外な一面を視ちゃったわ。

 これだけ人も多いから変な人も居るかも知れないじゃない。

 それに変な目的じゃなくてもあんなに可愛らしい娘達なんだもの、声を掛けたくなる気持ちも解らない訳じゃないわ。

 あと迷子と勘違いして保護してくれる人が居ても、直ぐに気が付いて説明すれば大事おおごとにもならないし。



「弥生は明日から仕事なのかい?」


「お休みを貰ったのは明日までなんですよ。ですから明後日から会社に行きます」


「それが良いさね。旅の疲れも在るだろうから、明日はゆっくりして準備を整えるこった」


「はい。その心算でした。本当は明日のギリギリまで居たいのですけどね」


「いくら弥生ちゃんが若くて元気が良いからって疲れは在るわよ。無理したら注意力とか集中力も散漫になるし、身体も辛いしで良い事なんて無いわよ」


「そうですよね。あたしのお仕事には事務的な事も沢山在って、ミスすると色々な部署の人達に迷惑や影響が出ちゃうので集中力は切らせないんですよね」


「たしかインテリア関係のお仕事だったわよね?」


「インテリア専門じゃないですけどインテリアも含みますね。簡単に云うと内装工事全般の設計と施工が主なお仕事で、インテリアコーデは総合的に含まれる業務の一つって感じですね」


「そうなのねぇ。手広くご商売してる会社にお勤めなのね。やっぱりキャリアウーマンって感じなの? なにか格好良いじゃない」


「あたしなんて下っ端の平社員ですよ。格好良い訳ないじゃないですかぁ。覚える事もまだまだいっぱい在って残業の毎日です」


「毎日!? まぁなんて大変なお仕事なの。でもそのお仕事を続けられてるなんて凄いわ。尊敬しちゃう」


「尊敬なんてされるような事じゃないですよ。部署の皆がそんな感じなんです」


「いえいえ。凄いわよ。少なくても私には無理だと思うわね。過酷すぎるわ」


「それだけ毎日働くんだ、あたしも凄い事だと思うよ」


「どうでしょうねぇ。もうそれが普通になってますから、辛いって感じは無いんですけどねぇ」



 あたし達は三人で井戸端会議を開いて取り留めのないお話しをしながら、紫音ちゃんと綾音ちゃんが戻って来るのを待っているわ。

 三人とも時々双子ちゃんと璃央さんの居る方に視線を送って遠巻きに眺めるようにしてるのって、璃央さんが視てくれてるから安心感もあるけど、何となく気になっちゃうのよね。


 こんな風にどこか意識は半分だけな感じで世間話をしてると、紫音ちゃんと綾音ちゃんがこっちに向かって速足で歩いて来るのに気が付いたの。

 いつの間にか二人の後ろから少し距離を置き、素っ気ない振りして璃央さんが見護るようにくっついて来てるわ。


『あんなんじゃバレバレじゃない。もっと上手く出来ないのかしらね。ふふ』



「ママぁ。きまったの。わたしとあやね 一コずついい?」


「そうねぇ。同じのじゃないのよね?」


「ちがうのよ。しおねぇは あひるさんので わたしは おひめさまのよ」


「そう。それじゃ皆で棚まで行きましょうか」


「うん。こっちだよ」


「りおにぃも はやく くりゅのよ。はやくはやくっ」



 戻って来る早々にまた陳列して在る棚に引き返すのだけど、もう二人とも待ち切れない様子で『早く早く』って急かして全身から嬉しさが溢れ出してるわね。

 璃央さんなんか、双子ちゃんに二人が掛かりで引っ張られてバランスを崩しそうになってるくらいよ。


『そんなに急がなくてもDVDは逃げたりしないわよぉ~』


 あたし達が少し遅れて陳列棚に到着すると、もうパッケージを持って待ってるんだから吹き出しそうになっちゃったわよ。

 双子ちゃんがそれぞれ手に持ったパッケージを許可を貰う為に手渡すと、彩華さんは軽く眺めるようにした後にカードを一枚ずつ抜き取って棚にパッケージを戻すように双子ちゃん達に渡したの。


 どこでも同じシステムのお店は多いと思うけど、犯罪防止とか利便性も考えて商品サンプルのジャケットパッケージだけ並べ、実際の商品は会計のカウンターで渡される仕組み。

 どの商品か分かるようにサンプルにカードを添付して置いて、購入時にはカードだけカウンターに持って行けば良いのよね。

 そしてあたし達ご一行様はレジの在るカウンターへ向かったわ。



「ここはあたしが出すから。璃央、その手に持った雑誌も一緒に会計して貰うから出しな」


「いいよ。婆ぁば。これは俺のだし自分で買うよ」


「ほれ、良いから。早くしな。みっともない」


「分かったよ。サンキュー婆ぁば」


「これはアルバイト代みたいなもんだよ」


「――さぁてねぇ? 俺には何の事だか解らないけど。でもまぁ、ここは甘えて置く事にするよ」



 璃央さんは一瞬バツが悪そうに苦笑いすると、観念したかのように師匠の言葉に従ったわ。

 なんだ、璃央さんもバレてるのは知ってたんじゃない。

 さっきのお話しはネタとして、盛ったエピソードに彩華さんが仕立ててあたしは少し担がれてしまったと云う事ね。

 これも彩華さんらしいユーモアだけどっ。ふふふ。


 DVDのお会計を済ませると、彩華さんは持っていたショルダーバックから子供用の可愛らしいリュックを二つ取り出し、両方に一つずつDVDを入れてから紫音ちゃんと綾音ちゃんに手慣れた手付きで背負わせたわ。

 少し大きめのポーチくらいのリュックサックだけど、身体が小さいから比率的に大きな荷物みたく視えてしまうの。

 オリーブ色のを紫音ちゃん、赤いのを綾音ちゃん。

 二人とも嫌がる事もなくそれぞれ背負ってくれたわ。

 とっても良く似合っていて、一緒にお寝んねした時に綾音ちゃんから聴いた二人の好きな色だと云うのも在ってかニコニコして可愛らしいったらないわね。



「はい、出来た。自分のなんだからちゃんと自分で持つのよ。解かった?」


「うん。わたしの あひるさん じぶんで もちゅの」


「そうよ。じぶんのは じぶんなの。れでぃの じょうちゅきよ」


「そうそう。紫音も綾音もちゃんと解かってるじゃない。偉い偉い。良い子ね」


「買い物も済んだし、少し喉が渇いたからフードコートでも行こうじゃないか」


「賛成よ。お義母さん。それが私の目的の一つだもの」


「ねぇね。あいしゅ あるのよ。いっちょに たべよっ」


「良いわよぉ。綾音ちゃんは何味が好きなの?」


「わたし いちごとチョコよ」


「それじゃぁ紫音ちゃんは何が好き?」


「あやねと いっちょだよ。はんぶんコ しゅりゅんだよ」


「そうなんだぁ。二人は仲良しさんだものね」


「「うんっ!」」



 こうしてあたし達、月詠家ご一行様はフードコートに移動を開始したので在った。

 お姫様はもちろん紫音ちゃんと綾音ちゃんね。

 師匠はそうねぇ。大御所様かな? 彩華さんは当然の如く御台所様よ。

 璃央さんは護衛役の供回りで、あたしはお世話役の女官といった所かな。

 時代劇のように『下にぃ~下にぃ~』なんて云いながら行脚しようかしらね。

 冗談みたいな事だけど一度やってみたいかも?


 双子ちゃんはあたしとお手々を繋いでご機嫌だわ。

 満面の笑みで元気良く歩いてるから、突然走り出さないかちょっとだけ不安になるのだけど……

 紫音ちゃんは跳ねるようにして歩いてるけど、綾音ちゃんはキラキラした瞳で時々リュックのストラップを愛おしそうに撫でたりしちゃって嬉しさを隠し切れない様子なの。

 璃央さんの様子はと云うと、たまにじゃれつく紫音ちゃんをあしらったりしながら至って普通に歩いてるわ。

 無茶振りを承知で『つまらないから何かやれ~』って云いたくなっちゃう。

 でも本当に何かしたら恥ずかしいわよね……



「あっちの大きいテーブル席が空いてるねぇ。紫音と綾音を先に連れて行かないとな」


「お願いしても良い? 私は纏めて買って来るから。あっ。駄目だわ。まだ皆のオーダー決まって無いでしょ?」


「一度テーブル席に座って、荷物を置くついでに決めたら良いんじゃないですか?」


「それもそうね。そうしましょうか」


「皆さんのオーダー決まったらあたしもお手伝いしますから」


「私と弥生ちゃんはオーダーと受け取りに行って、お義母さんと璃央君はテーブルでこの娘達のお相手って感じね」


「あぁ。それで良いさね」



 テーブル席から出店してる軽食のカウンターを眺めたりしながら、オーダーを取っていく。

 師匠はホットコーヒー、彩華さんはクリームあんみつ、璃央さんとあたしはアイスコーヒーと、ここまではすんなり決まったのだけど、双子ちゃんは二人とも難しい顔をして真剣に悩んでるわ。

 これがまた凄く可愛らしいのよ。


 何を悩んでるのかと云うと、ソフトクリームの味をストロベリー、チョコ、バニラのどれにするかって真剣な顔して考えてる。

 さっきはストロベリーとチョコが好きってって云ってたけど、実際に選ぶとなったらバニラも選択肢に入ってしまったみたいね。

 あたしはそんな双子ちゃんの様子が可愛らしいからずっと眺めていたかったけど、叱られちゃうのも可哀想だし助け舟を出してあげる事にしたわ。


 そもそもの原因は、オーダー出来るのが二種類だから悩んでしまうのよね。

 あたしがアイスコーヒーからソフトクリームに変更して、三人でシェアすれば三種類コンプするのは簡単じゃないって提案したの。

 紫音ちゃんと綾音ちゃんには二種類を二人で半分コって概念しか無かったみたいだけど、でもそれは仕方のない事だわ。

 こんなに小さい娘達が半分コにするってだけでも柔軟な発想なのだから。


 この件であたしは双子ちゃんに感心しちゃった事があるの。

 それは全種類を食べたいって我が侭を云わなかったのよね。

 一人ひとつずつだとちゃんと聞き分けていて、それが健気で可愛いじゃない。

 因みにストロベリーとチョコをバニラミックスにする選択肢は無かったわ。

 理由を聴いて少し驚いたのだけど、ミックスにするとバニラの量が多くなって相対的にストロベリーとチョコは少なくなるから半分コすると物足らないって。

 驚く事にちゃんと満足度も加味して悩んでたのね。

 本当に頭の良い娘達で、やっぱり天才なのじゃないかしらっ。


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