甲斐甲斐しい女はいかが?2



「弥生ちゃん、璃央君お風呂から上がって来たわよ~」


「えっ? まだ十分くらいですからいくら何でも早過ぎないですか? もしかしたら彩華さん揶揄ってますか?」


「そんな事ないわよぉ。璃央君っていつも鴉の行水でね、昨日は紫音と綾音が一緒だったでしょ? だからそれなりに時間掛かったけど一人だとあっという間なのよ」


「それじゃほんとにシャワーだけって事ですね。鴉の行水どころか行水もして無いなんてあんなに素敵なお風呂なのに勿体ないですよぉ」


「ふふふ。弥生ちゃんも上手いこと云うわね。行水すらして無いなんて」


「的を得てましたか? ふふ。お味噌和えは少し冷やし足りないですけど仕方ないですね。そうそう。彩華さん、しらす干しも使っても良いですか?」


「良いわよ。でも何に使うのかしら? 大根おろしでもしたの?」


「少し変わった感じですけど、冷奴に天盛りしようと思いまして。お豆腐に刻んだ大葉を散らして、しらす干しを天盛りするんです。薬味は最後におネギにミョウガ、おろし生姜でってこんな感じですね」


「あらぁ、それは美味しそうね。やった事は無かったけど、目から鱗で盲点だったかも」


「それじゃぁ、ちゃちゃっと支度しますね」



 あたしは本当にちゃちゃっと仕上げたら、お盆にお味噌和えと冷奴のしらす添えにビールとタンブラーを載せて居間に居る璃央さんへ運ぶ。

 そうそう、お醤油は少なめにしてって云わないといけないわね。

 しらす干しの塩気も在って、いつものようにお醤油を使うと塩っぱくなり過ぎてしまうだろうから。


 居間のテーブルに璃央さんのおつまみとビールをサーブしたらお待ちかねのお風呂イベントよっ!

 使ったお盆をキッチンまで返しに行ってから、着替えを取りにお借りしてるお部屋に寄って、紫音ちゃんと綾音ちゃんと三人でお風呂に向かったわ。

 


「はぁい。バンザイしてぇ。そうそう。良い子ね。ふふ」


「あたしも直ぐに行くから先に入ってお風呂のお椅子に座っててねぇ」


「らじゃぁ。やよいおねぇも はやくねぇ」


「はぁ~い。ねぇねも はやく きてね」


「うん。ちょっとだけ待っててね」


 逸る気持ちを抑えつつ、あたしも服を脱ぎ軽く畳んで籠に入れると引き戸を開けて足を踏み入れたわ。

 さぁ、お愉しみタイムの始まりよっ!


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