風の唱と双子ちゃん Vol2ー2



「綾音ちゃん。痛くない? 大丈夫?」


「うん。いたくないよ」


「良かった。少しだけ動かないでね。スグ可愛らしくしてあげるから」


「かみ なでられりゅの きもちいい のよ」


「ツヤツヤで柔らかくて羨ましいわねぇ」


「良かったな。綾音。また可愛くなるんじゃないか?」


「そうよ。わたしは りおにぃの およめさんにゃのよ。とうぜんよっ」


「待て綾音。そう云う事は大人になってから云ってくれ」


「すぐ おおきく なりゅ から りおにぃ しんぱい にゃいわ」


「弥生ちゃんからも云ってやってくれよ」


「良かったじゃない? モテモテでっ。ふんっ!」


 ちょっとだけサービスして拗ねた振りしてあげるの。



「はい。出来たわよぉ。いま手鏡で見せてあげるからね」


「ねぇね ありがと」


「どう致しまして。ふふ」


「あらあら。綾音~可愛いわね。弥生ちゃんありがとう」


「いえいえ。あたしが髪を結ってあげたかっただけですから。でも凄く可愛らしい」



 ちょうどポニテに結い終わった時に彩華さんが、お茶とお菓子、それに双子ちゃんのリンゴジュースを持って来てくれて、それぞれ差し出してくれながらお礼を云われたの。

 少し時間が経つとだんだん元気も戻って来たおしゃまさんな綾音ちゃんは、やっぱり可愛いから着せ替え人形みたいだけど、もっと可愛らしくしてあげたいじゃない。

 ポーチに入れて在ったシュシュは水色だから、綾音ちゃんのイメージとちょっと違う気もするけど、似合って無いって訳じゃないから及第点ってところかな?



「やよいおねぇちゃん わたしも かみ なでて?」


「良いわよ。今度は紫音ちゃんね。綾音ちゃんと交代しましょ」


「あやね こうたいね」


「うん。いいわよ。ねぇね また なでなでして」


「勿論。また髪の毛を結ってあげるわ」


「じゃぁ わたしのばんっ」


「紫音ちゃん。あたしのお膝に座ってね」


「うん。わかったぁ」


「やっぱり髪質は同じ感じねぇ。サラサラしてて触ってるだけで気持ち良いわ」


「わたしも あやね みたいな ふわふわ つけて?」


「紫音ちゃんの髪の長さだとシュシュで結っても直ぐ解けちゃうからどうしましょ」


「ふわふわダメなの?」


「そうねぇ……紫音ちゃんは髪の毛じゃなくてビーズ付いたヘアバンドをバングルみたくお手々に着けてみない?それも可愛いわよ」


「うん。あやねと かみのけ おそろい じゃないの いつも」


「そうね。紫音ちゃんはショートだもんね。じゃぁ、このヘアバンドにお手々を通してみて」



 なんて聞き分けが良いのかしら。

 ヘアアクセって点では同じだけど、用途の違う着け方しても喧嘩にならないんだもの。

 紫音ちゃんと綾音ちゃんは違う個性なんだって云う感覚がきっと在るのね。

 それに睦まじく順番コするのも微笑ましくて良いわぁ。

 本当に仲良しさんだし、なんて愛らしい双子ちゃんなのっ。





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