風の唱と双子ちゃん Vol2ー1


 お散歩も兼ねて歩いてお店に来た時と違って、やっぱりバイクだと直ぐに着いちゃうわね。

 もう少し疾ってたい気分だったけどまた機会が在ると良いなぁ。

 そう云えば紫音ちゃんと綾音ちゃんはお昼寝から起きる頃ね。

 一緒に遊べるかしら?

 あっ! その前に明日は電車で帰る事なったのを師匠と彩華さんに報告しなきゃ。

 まずはそれからよね。



「ただいま戻りました。弥生です」


「お帰りなさい。璃央君も一緒なのねぇ~若いって良いわね。ふふふ」


「彩華さん、出し抜けに何を云ってるのよ。俺は試運転ついでに弥生ちゃんを送って来ただけ」


「いいのいいの。照れなくてっ。そんな事より上がって居間で寛いでてね。お茶持って行くから」


「ありがとうございます。お言葉に甘えてそうさせて戴きますね」


「それじゃ俺も少しだけ」


「そうね。あの娘達をお昼寝から起したら支度するからちょっと待ってて」



 居間には誰も居なかった。

 璃央さんと二人きりなのは嬉しいような気恥しいような……

 あたしだって意識するような事じゃないのは頭では理解してて、璃央さんも平然としてるけど、タンデムした時に後ろから抱き着くような感じだったから、ちょっとだけ離れた感じで座ったの。


 バタバタバタ!

 廊下を走って来るような音がして視線を向けてると紫音ちゃんが顔を出したわ。

 そのまま璃央さんにタックルするみたいに跳び込んでく紫音ちゃん。

 綾音ちゃんはどうしたのかしら?

 なんて思ってると眠そうな眼を擦りながらゆっくり姿をみせたの。

 あたしと視線が合ったからかそのまま近づいて来るわね。

 そして綾音ちゃんはよろよろと座ってるあたしの眼の前まで来ると、尻餅をいて「キョトン」って顔で卓袱台にお座りしちゃった。

 

「ねぇね だっこ」


「うん。良いわよ」


 そう云って両手を差し出す綾音ちゃんを抱き上げあたしの膝の上に乗せると、背中を凭れ掛けさせてあげながら頭を抱くみたいに髪をそっと撫でる。

 やっぱり昨日と同じでまだ寝足りないのか、ちょっと寝惚けてるみたいに反応が薄い所を見ると、まだちゃんと覚醒してないのかしら?

 

 あらっ。

 仕種が愛らしくて気付かなかったけど、お昼寝してたからか、いつものポニテじゃないわね。

 せっかくだから結ってあげましょっ。

 あたしはポーチから携帯用ブラシとシュシュを出して髪を梳き始めたわ。

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