もうひとつの必然 Vol1ー1
彩華さんがお盆にお茶の湯呑みと一口サイズの最中やお煎餅と云ったお菓子の載った菓子鉢を置いて座布団に脚を崩して座った。
「はぁい、お茶を煎れて来ました。どうぞ」
「ありがとう御座います。戴きます」
「良かったらお菓子にも手をつけてね」
「はい。まだお腹一杯なものでお気持ちだけ頂戴します」
「それもそうね。私もお菓子まで手は伸びないもの」
「ふぅ。人心地ついたねぇ」
「お義母さん、少しゆっくりして。弥生さんみたいな掘り出しモノを視つけると張り切っちゃうんだから」
「あたし? あたしはどこにでも居る普通の小市民ですけど」
「そんな事ないわ。お義母さんの視る眼は確かなのよ。璃央君と出逢った時もそうだったし」
「そう云えば璃央さんとは血縁関係が無くても家族だって仰ってましたが……その辺りをお聴きしても差し障り在りませんか?」
「構わないよね? お義母さん」
「別に隠す事じゃないし、話して後ろ暗い事も無いから堂々と話せば良いのさ」
「それじゃぁ。確かに璃央君は世間一般で云う親族では無いのね。所謂、血縁では無いって事だけど、彼には月詠家として大きな恩が在るって云えば近いかしらね。私の夫である透真さんの過失から起こしてしまったバイクの事故で、璃央君を巻き込んでしまったのが私たちと璃央君が関りを持った切っ掛けなのよ。ちょっと長くなるのだけど良い?」
「勿論ですよ。あたしからお聞きした事ですから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます