師匠のお宅にお邪魔します Vol2ー1
こう云う事にあたしは疎いので、〇〇観音とか解らないのだけど、それでも御利益の在る凄いものだと云うのは想像に難く無いし、理解できるわ。
他にもお華が活けられてたり、飾り羽子板や熊手等の縁起物が飾られて、華やかで在りながらも荘厳な佇まい。
且つ清廉な空間に包み込まれるような感覚。
圧巻と云った感じで、玄関の敷居で隔てられた別世界みたいな気がするの。
神社へ参拝に行った時に、鳥居を潜る前と後で何となく空気が変わる感じと云えば解かるかしら?
いつまでも見惚れてしまいそうになる程、眼を離せなくなるわ。
それでも任されたお仕事を優先しなきゃダメよっ。
お鍋や食器類は運び入れる度に、チラチラと吸い寄せられる様に視線が向いてしまうわねぇ。
「独りで運んで貰ちゃって御免なさいね。大変だったでしょう?」
「彩華さん、全然そんな事ないですよ。単純に運ぶだけの事ですから」
「ありがとう。助かったわ。これで最後かな?」
「ええ、そうですね。これが最後になります」
「それじゃぁ、私は裏の駐車場に車を停めて来るわ。お義母さんもそろそろ来ると思うから上がって寛いでてね」
「ありがとう御座います。それにしてもご立派なお屋敷ですね」
「そうなのよぉ。私も嫁ぐ前に初めて伺った時は、眼を丸くして二の足を踏んだわ。それなのに今では住んでるのよぉ。こう云うのも馴れるのね。いっけなぁい、車を裏に停めて来なきゃ。そのお話しも後でゆっくりねっ」
これで何度目になるのかな? あたしは最後の荷物を手に敷居を跨いだわ。
丁度その時、師匠が玄関の小上がりにお屋敷の奥から来る所だった。
あたしと視線が合うと、少し口角を上げ微笑みながら運び込んだ荷物へ近づいて行く。
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