名前に秘められた想い Vol2ー1


 それにしても「彩りの音」って凄く素敵ね。

 紫の音って、この上ない雅な高貴さを醸し出すって云うか。

 能楽の笙のような厳かな響きってイメージかな?

 綾音ちゃんには綾衣の凹凸の在る模様や色彩を音にするって、アーティスティックな響きを感じるわ。

 云われてみれば、何かふんわりと心の内側になにかが拡がる想いね。


 樹々の枝葉が揺れて奏でる音って云うのかな?

 四季彩と風のハーモニーから成る共鳴する音。

 これも立派な彩りの音よね。

 

 逆に奏でられる音からインスピレーションされる色彩も在ると想うの。

 豊かな感性と感受性。似てるけど、やっぱりそれは似てるだけ。

 そこからインプロヴァイスされて生まれる何かでお互いをより高め合う。


 そんな何かを生み出だせる素敵な関係になってね!

 紫音ちゃん彩音ちゃん。頑張ってぇ!

 そうなって欲しい。そして願ってる。

 だからあたしは信じます。

 無限に広がる豊かな感性と感受性を。

 二人の異なる個性を併せて奏でるハーモニーを。



「名前ついでにもう一つ良いですか?」


「どう~ぞぉ?」


「璃央さんの姓が違うのは彩華さんの旧姓だからですか?」


「おや? 云って無かったかい? 璃央は家族だけど、血縁は無いんだよ」


「そうそう。璃央君はお義母さんが気に入ってって云っても良いのかしらね? それはもう弥生さんみたいに」


「えっ! 璃央さんって捨て子だった?」


「違うわよぉ。もう本当に面白いわ。璃央君は捨て子では無いのよ。そもそもお義母さんが拾ったのは五年位前の事だし。あらっやだ。静かだと思ったら、この子達お腹いっぱいになって寝ちゃったわ。ふふふ。寝顔だけなら天使なんだけどっ」


「ここいらで御開きにしようかねぇ」


「そうね。いまのお話しの続きは今夜ゆっくりと璃央君の眼の前でね」


「お話しの続きが愉しみですっ」

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