お昼ご飯のメニュー Vol2ー1


 彩華さんは当然の事の様に、南蛮漬けを全員のお取皿に給仕してくれる。

 レタスをバラン代わりにして、ヒジキの煮物ときんぴらも一緒に盛り付け、少しずつ色んなお料理をって配慮してるなんて粋ね。

 その流れる様な所作に見惚れてしまいそうよ。

 


「どうぞ、弥生さん。お口合うか判らないけど遠慮しないでね」


「ありがとう御座います。こんな大勢で摂るお食事は久しぶりなので愉しいです」


「あら。そうなの? ご家族とは住んで無いの?」


「ええ。実家から距離はそれ程離れてませんが、一人暮らししてますね」


「それは色々と大変でしょう? この時期に旅行なんて学生さんなのかしら?」


「いえいえ。一応会社に勤めてますよ。暫く忙しくお仕事してましたので有給が貯まっちゃって、担当してるプロジェクトが一段落したのも在って、三日前にいきなり上司の鶴の一声で強制的に有給を取らされました」


「弥生さんを気遣って休暇を取らせるなんて、信頼できる上司さんの様ね」


「それが違うんですよぉ。人事部の方からお叱りを受けたみたいで、謂わば帳尻合わせで日数消化させられたって云うのが真相なんです。突然、長期休暇を貰っても、何の予定も立てて無いのでちょっと損した気分にもなったのですけど、婆ぁばや璃央さん、彩華さん。それに、しおんちゃんとあやねちゃんともお知り合いになれたので、今は上司に感謝してますねっ!」


「それは大変光栄です。ふふ。最初お義母さんに聞いた時は、そんな女の子って居るのかな? って少し信じられなかったのだけど、こうして弥生さんに逢ってお話しすると、凄く行動力が在るんだなぁって。驚いたわよ」


「行動力だなんて……本当にそんなんじゃ無いです」


「もっとお話ししたいけど、それは後でね。いまは先にご飯にしましょ。さぁ、いっぱい食べて食べてっ!」


「はい。遠慮なくご馳走に成ります」

 

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