お昼ご飯のメニュー Vol1ー1


 そーだわ。そーよ! 璃央さんがあたしを貰ってくれればそれで解決じゃない?

 あたしだって結婚出来るし?

 あわよくば双子ちゃんみたいに可愛らしい子供も?

 これこそウィンウィンってやつじゃないですか。


 イイカラ スコシ オチツキナサイ! ソンナニ ボーソー シナサンナ。


 そうでした。少し冷静になって考えてみましょ。

 そうねぇ、いま想えば師匠の眼が少しだけ笑ってる様にも視えたわね。

 彩華さんも口籠りながらチラチラと師匠に目配せしてた節が……

 

 これは役者の格が雲泥の差だったって事なのね。

 あたしがパニクって思考停止しちゃったが故に、自ら陥穽に嵌まっと云う自爆だわ。

 きっとこう云うのが正解だと想うのよ。

 完敗に乾杯。って……



「ママぁ おいすわ? リオにぃの どこ?」


「うーん。そうね。璃央君はここが良いかしら」


「じゃぁ わたし ここ。おいす うごかすわ」


「やよいおねぇ わ おじかん あるの?」


「どうしたの? しおんちゃん」


「おねぇちゃんの おとなり いい?」


「そうゆう事ね。勿論良いわよ」


「ママぁ。おねぇちゃん いいって。だから いい?」


「良いわよぉ。ちゃんと弥生お姉ちゃんにお時間を聞いたのね。偉いわね」


「うん。もー めぇって されない もんっ」


「弥生さん。子守りさせちゃうみたいで申し訳ないけど良い?」


「そんな気を遣わないで下さい。こんなに可愛らしい子のお隣なんて嬉しいです」


「良かった。将来の予行練習も兼ねてね? ふふ」

 

 彩華さんはウインクして配膳に戻る。

 またサラッと揶揄われてしまったわ。

 さっきの遣り取りを思い出して顔が熱くなったわよぉ。

 もうぉ。意地悪ですよぉ……


 あやねちゃんは背高のキッズチェアを璃央さんの席の隣に引き摺って動かしてて、どこか小動物的で可愛いわね。

 あたしは一人じゃ大変そうなので、動かす予定の場所に在るチェアを除けて空けてあげたわ。

 そしてついでとばかりに、大人五~六人でも狭くならないであろう丸形テーブルにチェアを並べて行く。


 美味しそうなお料理やお取皿にお箸等、次々と受け取り配膳して廻る。

 そして最後に汁椀を人数分配膳したら完了です。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る