意外な一面 Vol3ー2


 

「この椅子運んだら配膳、お手伝いします。あそこのトレー使っても良いですか?」


「弥生さん助かるわ。良いお嫁さんになるわね。若いからまだでしょ? 結婚」


「えっ? はぃ。まだです。あたし女子力高くないもので……それに彼氏ですら未だに……お恥ずかしいです」


「それは男性の眼が節穴って事よ。私なら迷わずプロポーズするわねっ!」


「何だい弥生? そうなのかい? だったら璃央なんてどうだい? まぁ愛想は無いが悪くないと思うよ」

 

「お義母さんっ!! それは早急過ぎますってぇ! 云い方をもっと? その? 何と云うか? 外堀からですね? 徐々に埋めてから〇×▽xxx」



 あのぉ彩華さん? 聴こえてますよぉ。とか不穏な単語が……



「彩華、お前だって弥生の事を気に入ったんじゃないのかい? だったら良いじゃないか?」


「それはもう。弥生さんが璃央君のお嫁さんになってくれるなら、諸手上げて賛成ですよ。だからこそ確実に手堅く攻めて行って囲いを狭めてですね? 最終的に結婚して子供もって」


 

 あのぉ彩華さん。ダダ漏れですよぉ。もっと不穏になってますよぉ。



「けっ、結婚……ですかぁ? えぇーとそのぉ何と云うか、そりゃ璃央さんは親切にですね? 優しそうにですね? 笑ってくださったり? それにで〇×▽〇×▽xxx」


「なんてねっ! びっくりさせちゃったかしら? 勿論、もしそれが本当になったら素敵なんだけどっ」


「えっ? えっ? えっ??? えぇぇぇええ!! 担がれちゃいました? か? あたし?」


「よくもまぁ、そんなにコロコロと表情を換えられるもんだ。感心するよぉ弥生。本当に可笑しな娘だよ。大体よく考えてもみな。璃央とロクに話もしてないんだろう? それなのに外野がこんな話し本気でする訳ないじゃないか。人の心なんてのは、そんなに簡単なもんじゃ無いよ。まぁ、悪ふざけが過ぎたようだ」


「ごめんなさい、弥生さん。冗談が過ぎたみたいだわ。お義母さんも悪乗りするもんだから。ついね……」



 しまったぁ! 嵌められたぁ!

 なぁに? この阿吽の呼吸。老成した夫婦みたいじゃない!

 仲良し過ぎて羨ましいんですけどぉ。

 出来るならあたしもこの輪の中に入れて貰いたいわっ。

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