意外な一面 Vol2ー2



「彩華や。この娘がさっき云ってた弥生だよ。弥生、ウチの嫁で彩華って云うよ」


「初めまして。神駆絽 弥生です。お祖母様にご親切にして戴きました。お世話になります。どうぞ宜しくお願いします」


「こちらこそ初めまして。彩華さいかです。先程お義母さんにお話しを伺いました。とても愉快な旅行をされてるとか? 是非、お話し聴かせて下さいね」


「愉快な旅行だなんて……思い付きと行き当たりばったりなだけで……」


「ふふふ。お話しが愉しみ。あらぁ、紫音と綾音も一緒に来たのね? まだ遊んでても良かったのよ」


「ママ……」


「ん? どうしたの紫音」


「ごめんなさいっ。ごはんの……」


「紫音? 何でごめんなさいしてるか解る?」


「わたし ごはん しなかった から ママ めぇ したの」


「それも在るけど、それだけじゃ無いのよ?」


「なぁに?」


「良い? 紫音。ご飯食べなかったのが一つね。もう一つ。パパはお仕事行くでしょ? お仕事の前はお時間がちょっとなの。紫音がパパのお仕事の前にお話しするとパパが会社で『めぇ』ってされちゃうのよ。パパがめぇってされちゃうと可哀想でしょ? だからお仕事の前は邪魔しちゃダメなのよ。解るかな?」


「パパ めぇ されると かわいそぉ。もぉしない」


「はい。良い子ね。それじゃぁ、ママは紫音を許します」

 

「やったぁ! ママぁ。やよいねぇね すごいの。しおねぇが ちゃんと ごめんなさい したら もぉママ めぇって しないって。あたったのよ。すごいでしょ?」


「そうなの? 綾音。弥生さんありがとう御座います。娘達にきちんと教えてくれて。本当にお義母さん好みの可愛らしい方ね。私も仲良くして下さいね」


「そんなお礼なんて。あたしはしおんちゃんが謝っても許して貰えない時は、一緒に謝ってあげるって云っただけなんです。それに可愛らしいなんて。あたしなんて珍竹林ですから」


「弥生さんったら。ふふふ。本当にとってもの面白い娘さんだわ。」



 面白がられてしまったみたい。何かした心算は無いのだけど……

 まぁ良っかっ! 愉しんで貰えたみたいだし。

 ただ、師匠好みとは何ぞ?

 気に入られたのなら光栄の極みって感じで、嬉しくて天にも昇る気持ちになるのだけど。


 あたしが東京から来たから物珍しいだけなのかもねっ。

 でもそんなに変な事はしてる心算は無いのだけど、浮いてしまってるって事?

 うーん……考えても心当たりは無いわねぇ。

 強いて云えば、今晩の宿泊先を予約して無かったって事なのだけど。


 これだって事情をお話しすれば理解して貰える範疇だと思うわね。

 お食事しながらでも説明すれば良いわっ。

 うん。きっと大丈夫よ。

 彩華さんも素敵な方だったのだし、もっとお話しさせて戴きましょっ。

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