双子ちゃんの吸引力 Vol3ー2



「やよいねぇね ここ ごはん つくる ところ なのよ」


「やっぱり厨房設備も在ったのね。と云う事はここは元々お店だったの?」


「ばぁば いってたのよ。むかしパパが やりちらかしたって」


「遣り散らかしたって……あやねちゃん意味解るの?」


「ううん。わかんない。でもリオにぃが たまに ごはん つくってるのよ」


「あら、璃央さんってお料理もするんだ? どんなご飯作るのかな?」


「ペリってして おゆいれて ズズズってする ごはんね」



 あっ……これ聞いちゃダメなやつだ……璃央さぁん。カップ麺はお夜食程度にして下さぁーい。教育上、良ろしく無いですからぁ。


 

「そっそうね。璃央さんは男の人だから……ね。たっ、偶ぁ~になら……ね?」


「しおねぇと わたし ちょーだい すると ちょっとだけ くれるの。ナイショって いって」

 


 らめぇぇえ! 璃央さんアウトですっ! こんな小さい子に食べさせちゃうと栄養のバランスがぁ!

 


「んー。偶にちょっとだけならね? ちょっとだけなら。でもあんまり食べると大きくなれないからね。ダメよ?」


「おにぃちゃん ばぁばに おこられるよ。わたし みたもん」


「師匠グッジョブです!」


「ぐっじょぶ? ねぇねの たまに わかんにゃいの」

 


 やだぁ……声に出しちゃったわ。


 

「そうねぇ、難しくてごめんね。グッジョブはね、婆ぁばの云う事が正しいって事になるのかな? この場合は」


「だからリオにぃ おこられるの?」 


「そうね。璃央さんはちょっとだけ失敗しちゃったって事ね」


「ふうん。そぉなんだぁ……リオにぃも しっぱい しゅるの?」


「みんな失敗はするものなの。あたしもいっぱい失敗してるのよ」


「やよいおねぇ おはなし いらない。はやく きち いこっ!」

 


 飽きちゃったかしらね。やっぱり小さい子だわ。可愛いらしいわ。ふふふ。



「あぁぁん……そんなに引っ張らなくても大丈夫よ。それじゃ今度はお外の探検しよーね」


「わたしの ばんだよ。わたしのばん。おにぃちゃんの ひみつ みるの」


「秘密なの? 視ちゃっていいのかなぁ。でも、それなら璃央さんのお邪魔にならない様にしなきゃね」


「おにぃちゃん おしごとするの ちかくいくの ダメってゆーよ」


「ばぁばも そぉなの。おしごと ちかくだと おしりペンする ゆーにょよ」


「そうね。しおんちゃんとあやねちゃんに痛い痛いさせたくないのよ。きっと」


「ばぁば ペン いたいの。でもママがペンすりゅと ばぁば しないよ」



 聞いた事が在るわ。子供にはどんな時でもどこかに逃げ場を創って上げないといけないって。逃げ場の無い子供は追い詰められちゃうんだって。 



「ママも婆ぁばも愛情をいっぱい、しおんちゃんとあやねちゃんに注いでるのね。それって凄く素敵な事なのよ」


「おねぇちゃんは おとな なの?」


「うん。そうよ。大人よ」


「だから むずかしいの? わかんない の いっぱい なの」


「ごめんね。あたしは小さい子とお話し慣れてないから大人の難しい言葉使っちゃうのよ」


「ねぇね。おおきく なったら わかりゅ? わたしも」


「解る様になるわ。なるべく易しく云うけど、解らなかったら聞いてね?」


「らじゃぁ!」

 


 らじゃぁって……どこで覚えるのかしら?

 あたしも安易に変な事を云わない様に気を付けなきゃ。


 チョット キガツク ノ オソカッタン ジャナイ?

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