偶然の様な必然の出逢い Vol5ー2


 

 それにしても御殿の様なお家って素敵だわ。

 どれだけ大きなお家なのだろう。ワクワクしちゃうじゃない? 

 ご親切にして貰った上に、滅多に出来ないような体験までさせて戴けるなんて。

 とても贅沢なのじゃないかしらね?



「もしもし璃央です…………こんにちは…………いえ、何か在ったんじゃ無いけど…………いま婆ぁばに替わりますので…………はい…………婆ぁば彩華さん出たよ。はい」


「彩華かい?…………さっき面白い娘を拾ったんだよ。それで昼をこっちでしようと思ってね…………用意してくれるかい?…………これから璃央の洗濯物持って帰るからその時に…………じゃ頼んだよ」


「璃央。軽トラ使って良いかい?」


「キーはいつもの所に在るよ」


「紫音と綾音は置いてくから頼むよ。弥生、面倒じゃなきゃあの子らの相手して貰えるかい?」


「勿論です。喜んでっ」


「そう云う事だから、一旦帰って彩華連れて戻って来るよ」



 師匠はスマホを璃央さんに手渡した後、勝手知ったる何とかの体で淀みなくキーを取り上げ軽トラに乗り込みエンジンを掛けた。

 それはあっという間と云った刹那的な出来事で、視てるあたしは只々、圧倒されてしまったわ。

 きっとお話しをしながらその後の段取りや他の色々な事を組み立てていて、即行動に移すのを信条としてるのでは無いかな?

 お知り合いになってからまだ僅かな時間なのだけど、師匠のお人柄を何となく垣間視た気がするわね。


 特筆なのは歯に衣着せぬ口調や体裁を気にしないで、実を取る合理性と行動力って素晴らしいわよね。

 それだけじゃ無く、柔軟に対応する所なんて見倣わせて戴きたいって思うわ。

 もうあたしの理想像って感じで憧れてしまうの。

 師匠とお知り合いになれただけでもツーリングに来て良かったって感じるわよ。



『そして何となくだけどあたしの宝物になるって予感もするの』

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