双子ちゃんの吸引力 Vol2ー2



「はい どーぞ めしあがれ」


「ありがとう御座います。あやねちゃん難しい言葉を知ってるのね? 凄いわ」


「ママがね、ごはん とき ゆーの。いただきます すると どーぞ めしあがれって」


「それで覚えたの? とても素敵なママね! ママの事好き?」


「うんっ! だいしゅきっ!」


「あら。良いお返事ね。しおんちゃんは? ママの事好き?」


「ママはねぇ。きょうあさ、ごはんの ときに めぇって したのよ。だから きらいっ!」


「えっ? そうなの? 何でママは しおんちゃんに怒ったのかなぁ?」


「それはね。しおねぇが わるいの。ごはん たべないで パパと おはなし したから」


「だって パパに おしえて あげたんだ もん……」


「何を教えてあげたの?」


「きのう ねてたらね。ゆめ みたの。それでね、それでね。ってなって。ってなって。ってなったの」

 


 擬音来たぁぁ! 全っ然解らん……うん、それは叱られるわよねぇ。何て説明しよ……



「しおんちゃんは これからね。いっぱい大っきくならなくちゃいけないのね。それにはご飯食べなきゃなのよ。ママはしおんちゃんが大切だから、めぇってしたんじゃないかな?」


「うん……」


「しおんちゃんはママに御免なさいした?」


「してない……」


「じゃぁ。お家帰ったら御免なさいしよっかっ」


「ごめんなさいしても……また めぇってしたら……?」


「その時はあたしも一緒に御免なさいしてあげるから、御免なさいしてみない?」


「やよいおねぇも いっしょ?」


「うんっ!一緒よ。だから御免なさいしよーねっ」


「うん。する……」

 


 しおんちゃんは元気一杯だったから気が付かなかったけど、今朝ママに叱られちゃったみたいね。

 ちゃんと御免なさいすれば許してくれるわ。きっと。

 この双子ちゃんの可愛さにあてられず躾も出来るなんて素晴らしいよね!

 あやねちゃんはママ大好きって云ってるから、きっと物凄く愛情も注いでるのよ。


 流石、師匠のご家族だわっ!

 素敵なママさんなんだろうなぁ。

 あっ! そうかっ!

 これが師匠が仰ってた『飴と鞭』なのね?

 なるほど。これは確かに対をなす両翼だわ。

 どちらが欠けても駄目。

 こんなに深い教えをたった一言でなんて……

 我が師匠ながら畏るべし!


 今晩はお家にお邪魔させて戴くからママにもお逢い出来るかしら?

 仲良くさせて戴けると良いのだけど。

 さっきはあやねちゃんに心配させてしまったから、ニュートラルな気持ちで居ないといけないわ。

 璃央さんの時も杞憂だったのだし何事にも先入観は禁物だって事よね。


 それに好奇心も在るけど機会チャンスが在ればいっぱいお話ししてみたいって思うのよ。

 特にキュートな子供の産み方とか、可愛らしく育てる方法やコツを是が非でもお聞きしたいし。

 他にも色々と後学の為にもご教授願いたいものだわ。

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