双子ちゃんの吸引力 Vol1ー1


 あれ? 師匠が電話で云っていたお昼って何の事だろ?

 もしかして昼食の事かな? お弁当をここで戴けるのかしら?

 きっとそうね。

 時間的にもその位だし。


 こんな天気の良い日にお弁当でお昼ご飯なんて、とても気持ち好いだろうなぁ。

 どんなお弁当なのかしら?

 お弁当って蓋を開けた時が楽しいのよね。ワクワクして。

 あらっいけない。

 ちょっと惚けてたみたいだわ。



「それでは穂含さん、バイクの修理を宜しくお願いします」


「任せて下さい。あと僕の事は璃央で良いですよ。穂含って言い難いでしょうし」


「ありがとう御座います。お言葉に甘えますね。璃央さん」


「いえいえ。紫音と綾音の悪戯が過ぎたら構わないので叱って下さい」


「可愛いから甘やかしてしまいそうですけど、頑張ってみます」

 


 穂含さん……いえ璃央さんは苦笑しつつ修理作業に掛かってくれたわ。

 あやねちゃんの云ってた笑顔はあれね。

 歯に噛む様な優しい愛情の籠った印象的な笑顔だわ。


 もう少し璃央さんとお話ししたいけど、小さな娘を二人っきりにしてしまってるから心配だわ。

 またお話しする機会も在ると思うから、いま優先すべきはしおんちゃんとあやねちゃん達ね。

 あたしはペコって会釈の様なお辞儀してサロンに向かって踵を返したの。



「やよいねぇね……ばぁばわ?」


 二人の顔はちょっと不安そう。

 置いていかれて少し落ち着かないのかも知れないわね?

 やっぱり優先順序は間違って無かったわ。

 こんなにも不安そうな顔をさせてしまってるのだもの。

 大人なら何でも無い事でも子供には心配になる事って在るのよね。


 あたしはそんな不安を一掃する様に満面の笑みで。



「婆ぁばはちょっと御用でお家に行ったの。スグ戻って来るから心配しないでね」


「そうなの……?」


「それまで、あたしと仲良くしてくれる?」


「やよいおねぇちゃん あそんで くれるの?」


「そうよっ! 一緒に遊んでくれるかな?」


 

 ぱぁって、まるでお花が咲く様に満面の笑顔に変わる二人が可愛すぎて辛いっ。

 だってギュゥってハグしたくなっちゃうもの!

 

 元気いっぱいのしおんちゃんはショートカットで、チョットだけ内気な感じのあやねちゃんはポニテ。

 性格や髪型は違うけどお顔はそっくりだから双子さんなのかな?

 それに身長も殆んど同じに視えるからきっと間違い無いと思うけど、聞いてみるのはお話しの切っ掛けにもなるし丁度いい話題よね。

 何して遊ぶか相談する前に予備知識は有っても損しないわ。

 それじゃぁ質問タイムと洒落込みますかねっ!

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