偶然の様な必然の出逢い Vol3ー2



 驚いちゃったわ!

 穂含さんって凄く丁寧な方でほっとしたけど、あたしのバイク屋さんのイメージだともっと横柄な感じに対応する人が多いって思ってたから意外だったわね。

 お祖母様と話してた時の印象と違ってジェントルって感じだったの。

 そう思ってしまうと格好良く視えて来てしまうあたしってチョロいのかも知れないわね…………

 不味いわ……気を付けなきゃダメよっ。



 ジジッ……ジジッ……

「寂しかったか? 悪かったよ」

「寂しかったわよ。当たり前じゃない」

「もう離さないから。責めないでくれよ」

「責めてなんかない。」

「知ってる。久し振りなんだ。言葉を間違えたんだ」

 

 『本当にこれって何なのよぉ。不可解過ぎるわよ。いまあたしに何か起ころうとしてるのかしら? でもこんな断片的なイメージを投影されたって何が何だか解るわけ無いじゃない!』



「弥生。こっちだよ。喉が渇いたらウォーターサーバー在るから自分でやりな」


「はい。ありがとう御座いますお祖母様」


「弥生……そろそろ其のお祖母様ってのは止めにして貰えないかい? どうもねぇ。如何にもこそばゆいんだよ」


「あっ。それは申し訳ありません。でも何とお呼びすれば良いかと……礼を失したく在りませんので」


「何とも律儀な娘だねぇ。璃央や孫の様に『婆ぁば』で良いよ」 


「では、お言葉に甘えまして……褥婆ぁばと呼ばせて戴きますね」


「それじゃ云い難いだろ? 褥なんて取っちまって『婆ぁば』だけで良いよ。全く呼び方一つで往生するねぇ……ほらっ。呼んでみなっ」


「はい……それでは…………婆ぁば」


「良しっ! それで良いよ。ついでに敬語ってヤツも止めてくれると助かるんだがねぇ」


「そっ、それは目上の方ですし……おばっ。いえ、婆ぁば? あんまり苛めないで下さいよぉ」


「そりゃ悪かったよ。堪忍しておくれな」


「堪忍なんて……滅相もないです」


「冗談だよ。あんまり真に受けるんじゃないさね。まぁ。弥生のそんな所を気に入ったんだけどねぇ。礼儀正しいのに面白い娘だよ」


「凄く光栄です。ありがとう御座います」

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