偶然の様な必然の出逢い Vol1ー1
土地勘も無いからバイク屋さんを探すにしたってねぇ。
こういう時は誰かに聞いた方が早いわよね?
えぇっと近くに誰か居ないかしら?
そう思って辺りをキョロキョロしてると……
「お嬢さん。キョロキョロしてどうしたんだい?」
少し離れた所から声がしたの。
声の主の方を見ると少し小柄な女性が小さな女の子と手を繋いでこちらに歩いて来るのが視えたわ。
よく視ると女の子は二人いて物珍しそうに瞳をキラキラさせてる。
『あら。なんて可愛らしいのかしら。頭を撫でてみたいわ』
頭撫でさせてってお願いしてみようかな?
なんて事考えてると、普通に話せる距離までゆっくり近づいて来てくれた。
「こんにちは」と会釈してご挨拶。
「あぁ。こんにちは。ん? このナンバープレートは……東京からこんな田舎まで来たんだね。さぞ遠かったんじゃないかい?」
「いえ……実はあたしの気の向くままに気が付いたらココに居ました」
「はっはっはっはっは。面白い子だねぇ。お嬢ちゃんは。ほら。このお嬢ちゃんにご挨拶するんだよ」
って、女の子に向かって云った。
「おねぇちゃん。 こんにちわ。 わたしは しおん! こっちが あやね! いもうと なの」
「ねぇね。こんにちわ」
「偉いねぇ。こんにちは。しおんちゃん に あやねちゃんね。頭撫でても良いかな?」
「いいよぉ」
「うん!」
この子達可愛いわぁ。あたしもこんな子供欲しいかも? なんて。
こちらの女性はお母さんって感じじゃないけど、お祖母ちゃんって感じでもないのよねぇ。
どんな関係なんだろ? 謎だわ。
凛としてて上品な感じで少し着崩した和装も着慣れてる感があって恰好良い。
三味線のお師匠様や書道の先生とかそんな雰囲気があって、失礼じゃなきゃ聞いてみたいかも?
「それで、お嬢ちゃんはどうしたんだい? 覗き込んだりキョロキョロしたりで何か落としでもして探し物してるのかい?」
「あっ。そうですね。バイク屋さんがこの近くに在るかな? と思ってまして。お察しの通り土地勘がないので困ってました。ご存じないですか?」
「何だい? バイク屋探してたのかい? それなら在るよ。すぐ其処に。あたしらも丁度行く所だから良かったら一緒するかい?」
「そうなんですか? もしお邪魔でなければ是非ご一緒させて下さい」
「邪魔なんて事在るかね。ほら、孫のこの子達も興味津々でお嬢ちゃん見てるしね。遠慮なんて要らないよ」
いま孫って云った? この方はお祖母ちゃん?
凄く恰好の良いお祖母様……憧れちゃうわ。
なんて思いつつ。
そう云う事なのでお礼を云ってそそくさとバイクを押そうと準備始めると。
「バイクはそのままで良いよ。目と鼻の先なんだから。行ってからあいつに云いつけて押させれば済む事だ」
「えっ? でもそんな。悪いですし……」
「若いお嬢ちゃんがそんなに遠慮なんてするもんじゃないよ。こう云う時に役に立って男は何ぼさね。あたしがちゃんと云ってやるから」
「ありがとう御座います。ではお言葉に甘えさせて戴きます」
「そう云う事だよ。じゃ、行こうかね」
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