学生トーク「出会いと別れ編」

山田 武

学生トーク「出会いと別れ編」



「出会いと別れ……か、まさに学生って感じがするよな」


「今度は急にどうした? ……いやまあ、最近の発作か」


「発作言うなや。まあそれより、お前は出会いと別れについてどう思う?」


「って言われてもな……まあたしかに、学生はその定番な気がしないでもないが」


 席替え、クラス替え、そして進学……さまざまな形で子供のうちから出会いと別れを経験することになる学生生活。


 これまでの自分もそういったことを経験してきた、そう思いながら話は続いていく。


「そりゃあ別れっていうなら卒業とか転校とか大々的な感じになるけど、出会いだけなら少し辺りを見渡せばあるからな」


「……お前、全然出会いなんてないだろ」


「なんだと、俺がモテないとでも言いたいのか!?」


「そうじゃねぇよ、お前全然友達がいないって言ってんだよ」


 自分以外に積極的に話しかけている覚えのない友人に、そう告げる。


「…………何のことやら」


「お前、出会いも別れも無いだろうに。授業でグループワークをさせられた時だけ、大義名分とかなんとか思って聞かれたことだけ答えるのを会話と思ってるんじゃないか?」


「ぐはっ! な、なぜそれを……!」


「……まあ、分かるやつには分かる、ただそれだけの話だ」


 類は友を呼ぶ。

 実際のところ、両者共に休み時間以外の態度は同じようなものだった。


 だからこそ、他者を交えない彼らの絆はより深いとも言えよう──この出会いに別れがあるのか、それはあるにしてもかなり先のことになるであろう。


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