サクラ

キザなRye

第1話

 春、それは始まりと終わりの季節である。卒業や入学,進級で友達と離れ、新たな友達と出会う。

 安藤健人は今年の春、高校を卒業する年だった。高校に入学してからこれと言った仲の良い友達は出来ず、普段から一人で行動することが多かった。友達という友達がいないので学校行事に対して熱心に取り組むというようなこともなかった。いくら友達がいないからと言って学校に行かなくなる、というようなことは一切なかった。これは健人が学校とは勉強するために行くものだという認識があったからである。学校に行くというのは遊びに行くことではないのだから友達がどうこうとかそういう話ではない。重要なのは友達ではなくて話しかけられた人への態度にあると健人は考えていた。初めて話すような人でも前から知っているような人でも礼儀を忘れずに接することを重要視している。

 孤独な中でも健人は家族にそんな素振りを見せず、学校が楽しいと伝えていた。本人からすれば勉強をしていることが楽しいという意味だったのかもしれない。今まで出来ていなかった問題が出来るようになるということに快楽を覚えたのかもしれない。ただ、これを端から見れば周りに気を使うような凄く良い子に見えてくる。こんなにも良い子が一人で生活していることは謎に思えてならない。

 高校を卒業したあとで新たな世界に旅立つ健人の未来に彼の生活を一変させてくれるような輝かしい存在と出会い、健人が人生は楽しいと勉強以外の側面から見つめてくれるような日が来ることを願いたい。

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サクラ キザなRye @yosukew1616

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