春にさよなら3

 企画応募期間が終了しましたね。

 あと二回に分けて作品紹介を続けて行こうと思います。


 今回のトップバッターはこちら。


 鈴ノ木 鈴ノ子さん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655873029167

 二作目です。


 終始静かな筆致で、住み慣れたアパートを旅立つナツの姿が描かれます。

 目に映る一つ一つのものに、大切な人との思い出が紐づき、愛おしさが込み上げる。

 いつかまた、横に並んで歩く日を夢見て。

 短く淡々とした語り口の中に、二人の深い愛が感じられる作品でした。



 お次はこちら。


 水涸 木犀さん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655874022238


 アイドル事務所という、華々しさと生々しさが混在する舞台で、夢と現実と青春と個性と仲間と嫉妬と理不尽とエゴと、様々な苦難に晒される少年たち。

 みんなが自分の大切なもののために頑張って、自分にできることを精一杯やって、それでもままならない世界。

 けど、最後のナツの旅立ちには、後ろ暗さはありませんでした。きっと素敵な男の子に成長してくれるだろう予感を感じさせてくれました。



 続きまして、こちら。


 もりくぼの小隊さん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655420848375


「変………身っっ!!!」って言ってないのが不自然に感じるという不思議。

 いいですね。このダークな特撮感。アマゾンズを彷彿とさせます。

 私も『葉桜の君に』の二作目ではアクセル全開のフルスロットルでぶっ放した経験があるので、勝手に親近感を感じてしまいました。

 ド派手な戦闘シーンもさることながら、最終話の桜の幻影に傷を刻む描写が非常に秀逸と感じました。なんなら一番好きかもしれません。かっこよかったです。



 どんどん行きましょう。


 竹神チエさん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655402641730


 こちらはハルのキャラクター造形が独特で印象的でした。

 小学校だと、たまにいるんですよね、こういう尖った子って。もちろん家庭の事情もあってのことなので、軽々しく論ずることはできないですが。

 そんなハルと学校の外でだけ特別な関係を築いたナツの、どこか後ろ暗い高揚と、罪悪感と友情との葛藤が、とてもリアルで丁寧に描かれています。

 幼い日々の、宝物のような空間と時間。それを裏切った自分を誤魔化し、思い出を甘美なものとだけ認識したいエゴイズムに、過去からの声が呼びかける。

 胸がズギュゥゥウウンと抉られました。



 もっと行きましょう。


 一視信乃さん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655336041508


 はい爽やか~~!!

 今企画内で一番爽やか。

 私の一作目がすっと読めてさらっと消えて行く読み心地を意識して書いたんですが、その方向で上を行かれた感じがあります。

 テンポのよい筆致。適度な伏線。後味の良い読後感。素晴らしい。

 大切な思い出が、徐々に色褪せていく日々。そんな鬱屈を吹き飛ばすカラっと晴れたナツ!!



 さらに行きましょう。


 桜庭ミオさん

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655383872020


 こちらはBLジャンルでの参加です。

 幼い日、自分の気持ちに気づいてしまったナツは、自分とハルの心を守るため、彼を遠ざける道を選んだ。

 最後の二人の思いのたけをぶつけ合うシーンが真っ直ぐで輝いてます。

 ばあちゃんがいいキャラしてますね。



 もう一作行きましょう。


 chauchauさん

https://kakuyomu.jp/works/16817330656057778953


 そうそう、こういう作品が読めるのが筆致企画の醍醐味その2!

 こちらのナツのキャラ造形もいいですね。

 弟のように思っていたハル。その視線の意味に気づき、彼を遠ざける選択をした自分の思いに変化が生じたのはいつの日だっただろう。

 環境と選択によって、そんな迷いも振り切ったはずのナツに、挑み続ける男一人。

 そしてそれを、否応なく見守らされる一本の桜。

 静かな筆致の中に、秘めた熱が漏れ出てくる作品でした。 



 はい。ということで、今回はここまで。

 次回の更新で全作紹介できると思います。


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