初めてのエロゲー

朝焼 雅

エロゲー

 初めてエロゲーというものをやる。高校に入りバイトをするようになって給料が出た頃、友達から誘われて恥ずかしながらも親に内緒で買った。なぜ親に内緒かと言うと、ただ単純に恥ずかしいから。

 ゲームは元々好きで、MMO RPGや格ゲー、レーシングゲームなどやってきたが、エロゲームだけはあまりにも恥ずかしいし、Dの僕にはハードルの高いゲームだった。

 しかし、今回は友達と一緒だったから勇気を出して買ってみた。

 家へ帰り、部屋の鍵を閉め、ヘッドホンをしてPCを起動。

 いきなり衝撃を受けた。なぜなら、出てくるキャラが可愛い、可愛いすぎる。なんだこれ、こんな人リアルで見ねーよって思うくらい可愛くて一瞬で惚れ込んだ。その中でも僕の推しは黒髪ショートのおとなしい子。咲ちゃん。彼女との出会いが僕の人生を変えるとは思わなかった。学校が終われば一目散に家に帰り、バイトの日はずっと彼女のことを考え、周りから見たら気持ち悪いくらいにハマった。

ただ、彼女は攻略難易度が高く、中々彼女になれず、苦戦して1ヶ月、ようやく彼女になってくれたんだ、それを友達に話したら、まだそんなとこかよ、俺なんか推しの他に2人とはエッチまで行ったぞ、なんて言うから先越された悔しさとちゃんとエッチなシーンを見れることを知り、ますます彼女にのめり込んだ。願望はDらしくヤルこと。彼女はプロフィールでEカップと書いてあったから期待値も高い。リアル彼女が出来なくても咲ちゃんがいればいいなんて思って攻略を進める。

 ゲームを始めてから2ヶ月が経った頃、ようやくお家デートができるようになった時に、リアルではテスト期間に突入。うちの親は成績にはこだわるので、ゲームを中断し勉強をする。

 部屋で勉強をしていると親も満足しているのか部屋には訪ねてこない。勉強をしなきゃ行けないのはわかるんだが、咲ちゃんのことが気になって仕方がなくて、ちょいちょい親が買い物に行っている隙にゲームをする。正直、ゲームをする時間の方が長い気がする。そうこうしているうちにテスト前日、さすがに勉強しなきゃまずいと思い徹夜で勉強をして次の日寝坊気味で学校へ行く。テスト3日間ほとんどそんな感じだったんだが、テスト最終日が終わり、バイトから帰ってきた時に事件が起きた。

 部屋にPCが無いのだ。かなり焦り部屋中探したが全く見つからない。しばらくすると親が入ってきて、嫌な予感がした。

 事件の真相はこうだ。

1.僕が家にいないうちに親が部屋の掃除をする

2.掃除中に誤って机の上のPCを落として画面にヒビが入る

3.家電屋へ修理に持って行く


 そして帰ってきて現在に至る。


 ふと、思い出したんだがPCに入れっぱだったディスクはどうしたんだろうと思っていたら、親がスッとケースに入った僕のエロゲーを差し出してきて人生詰んだと思った。親から、成績さえ落とさなければゲームとかしてもいいけど……年頃なのねって言われた時は恥ずかしさで高熱が出た時みたいに顔が熱くなった。これぞまさにお○にー中に親乱入ってやつなのかって瞬時に理解した。


 そして、久しぶりにゲームを開くと―――

New game データが消えていた。


 悲しさと虚しさと恥ずかしさでいっぱいだった僕は、とりあえず難易度1のキャラから攻略することにした。


 待っててね咲ちゃん。もっとゲームをやりこんで君を迎えに行くから……

それまでさよなら。



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