チャラ神 - おまけ

「ちーっす。神様じゃぞい! ゴッドオブゴッドじゃぞい! ……え、信じてない?」


「ほら見て、この天使の輪っかっぽいやつとか〰〰。白くてー、なんか神様っぽいこの服とか〰〰。この白くて長いひげとか〰〰。どう見ても神様っしょ〰〰」


「まあ……神に見えないような神様もいるけど……儂は完全に神じゃね? ほら、儂って言ってるとことか。……ン……? そもそも神って何かじゃと?」


「そうじゃな……。端的に言えば、天界に暮らしておる、全宇宙を管理する生命体(本当は微妙に違う)ってとこじゃな」


「それで、〝アレブ〟っていう唯一無二にして最高の神を尊敬し、崇拝するんじゃ。彼に逆らうと、神にとって何よりも辛いっていう⚔神の拷問⚔〟が待ってる。ただ訊き出せば終わりじゃなくて、苦痛を与えるのも目的の奴」


「じゃが殺されはしない――というか、神は死ねない」


「神は不老不死。心臓もない――臓器とか血管とか、人間の体内にあるようなものはほとんどないんじゃ。でも、感情はある。もちろん苦痛もある」


「儂は、君たちからすると、高性能AIみたいなものじゃな。でも、機械的に動くわけではない。動きもほぼ人間。人間のふりをすることも容易じゃな」


「だが……それでも死ねないんじゃ」


「死ねない拷問というのは、人間なら死ぬようなことをされても、同じだけの苦痛を味わうだけで、死ねない。苦痛は同じようにあるのに、それでも、死ねない」


「……それがどういうことかわかるか?」


「――わからないじゃろう。儂もじゃ。儂もまだ実感が湧いとらん。これからその拷問を受けるというのに」


「はあ……。これでもしばらく待ってもらったんじゃ」


「〝アレブ〟が優しい神という訳ではない。てか拷問してる時点でいい神ではないんじゃがな……」


「じゃあなぜ待ってもらえたかといえば。――それは単純」


「待ってもらったというより、待ってと言ったらそんなにすぐにやるつもりねえから、と適当にあしらわれたんじゃ」


「〝アレブ〟は、非常に面倒くさがりじゃ。それに救われた神も多いじゃろう。儂もそうじゃ」


「しかし。しかしじゃ。だからといって、拷問を受けるのを逃れられるわけではない。のろまなだけで、いつかやってくる。拷問後半月はなぜか再度の反逆も見逃されるらしいが、拷問自体が到底耐えられるようなものじゃない」


「それじゃあ、そもそも何をしたら反逆となるの? ――というそこのキミ!」


「そう。〝アレブ〟が決めた〝アレブスト法典〟とやらに逆らえば終わり」


「――いやある意味始まりかもしれんな(ドヤッ)」


「最大最悪の悲劇――〝GOD TORTURE⚔神の拷問⚔〟の始まりじゃ。あ……神様って言ってるけどゴリゴリのチャラ男目指してるんで、今後ともよろしくじゃ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る