アズキ

中村翔

ADUKI(アヅキ)

 A(arsenal)D(don't)U(universe)Ki(King)

 ーADUKiー

「ようこそ。ここは人類の咎。ADUKi。」

「は?なんなんだよ。突然。部屋が停電したってのによぉ。」

「ようこそ。ここは人類の咎。ADUKi。」

「ノーパソだから電源つくのはわかっけどよ。ネットに繋がらないのに喚きやがって」

「ようこそ。ここは人類の咎。ADUKi。」

「うるせーな。操作しろってか?」

「ようこそ。ここは人類の咎。ADUKi。」

「わぁった!操作すりゃいいんだろ。えっと?注意事項?パスだパス!どうせ誰もよみゃしねぇんだから。」

「ADUKiとはarsenal don't universe King.通称豆通信プログラムの総称です。豆通信プログラムとはー。」

「放置だな。こういう時間のかかるやつは大体漫画読んでるうちに終わる。」

「ーそれがADUKi。ではお客さまの幸運な未来を見てみましょう。Enter キーを押してください。」

「んあ!?終わったのか。Enterキー?」ポチッ

 ♪ー♪♪ーーー♪ー♪ーーー♪ーーー。

 グニャ「うあ。あ。」ドサッ

「ようこそ。お客さま。ADUKiは今日も平常運転です!」

「ぐ。あ。ぁぁぁぁぁぁ!」

「お客さまの解凍状況を表示します。」8%

「では解凍作業中おさらいしましょうか。」12%

「ADUKi。豆通信プログラムは宇宙旅行から未来旅行に至るまで全ての旅に対応した最新の旅アプリなのです。」25%

「その旅の全ては当社の管理するサーバーによって安全が保証されるものです。」32%

「その旅にスリルはあっても危険はありません。危険があった場合返金補償に対応しております。」43%

「旅のガイド役としてアズキがサポートさせていただきます。」50%読み込み中...

「隅から隅まで豆なサービス。豆通信プログラムです。」99%now loading...

「なんだ...?ゆめ?」

「お客さま。アズキです。視界の端をご覧ください。」

「視界の...端?」ズン。ポンっ。チャン。

「ようこそ。ここは2022年の日本になります。」

「お客さまの名前とアズキのサポート形態を設定ください。」タッチ。水紋がたわむ表現。

「タッチ...?なんなんだよ。座らせろ。」

 ビィー「操作の対象外に出ないでください。」

「うわっ。」ヨロッ。ポーン。設定を始めます。

「な、なんだ?視界に文字が。」

 あかさ

 たなは

 まやら

 空わ⁉︎

「なんなんだ?ったく。お客さまに優しくしやがれよ。」

「音声入力に切り替えます。」

「音声...なんだって?」

「了。苗字。音声。名前。なんだって。入力、完了いたしました。変更の場合、一度ログアウトしてキーボードで入力してください。」

「続いてアズキの設定に入ります。視界の端からアドバイスする"妖精"タイプ。話して楽しい"人間"タイプ。触れてフレンドリー!"恋人"タイプ。」入力待ち...

(何かと思えば新手のMMOか)

「えー。こほん。恋人タイプだ。」

「全ての入力が完了いたしました。ではADUKiの世界へ。」ズン。

「グーパーグーパー。これってバーチャルとか言うやつじゃないのか?」シュッ!シュッ!

「音声、、、!、、、くん!」

「うわっバグった!」

「バグったってなに?ひどいなー。」

「シャドウボクシングが当たっただけか。」

「なになに?ボクシングなんてしてたんだー?いっがいー☆」

「いや、なんでもって。よく考えたらプログラム相手に話してもしかたないよな。」

「プログラムってひどくなーい?アズキって呼んでもいいんだよ!」

「うわぁ!レスポンスしてくんのか。はぁ。じゃあこのゲームの目的は?」

「さて。音声くんはどこからどこまでがゲームだとおもってるんですかー?」

(うっわ。めんどくさいタイプ。)

「アズキは所定の場所でミニゲームもできるよ!」

(ピンボールくらいしか思い浮かばねー!)

「ちなみにミニゲームでハイスコアを出すとご褒美があるからね!」

「ご褒美...?」

「えっ?どんなのだと思ったの。ドン引きなんだけど。」

「なんだよ。男の子だからしゃーなしだろ。」

 mission:街中を歩いてみましょう。

「あ?みっ、なんだこれ。」

「音声くん!この街は久しぶりだからガイドがほしいでしょ!アズキがかってでちゃうんだなーこれが。」

「なんかそういうゲームあったな。あんま面白くなかったけど。」

 警告:NGワードが発言されました。

 あと2回で強制log outします。

「ログアウト?そういやこのゲームどうやって現実に戻んだよ。」

 警告:NGワードが発言されました。

 あと2回で強制log outします。

「またかよ!わぁーったわぁーったよ。街に行くんだろ?案内しろよ。」

 警告が解除されました。

 豆通信プログラムを再開します。

「で?いく?それともお夕飯食べちゃう?」

「行くって。早く準備しろよ。」

 ガザザ。now loading...

「いやー。天気良くてよかったね!この公園は2014年に出来たから音声くんは知らないよね?」

「なんだ。つまり2014年に出来る予定の未来の公園をバーチャルで再現したわけか。でも触れられないなら意味ないよな。」

「触れられるよ?あっ!ほら、滑り台滑ろうよ!ほら!こっちこっち!」

「俺はこれ以上そっちには」

(まてよ?行けるのか?)

「右、左、右、左。歩けるよ...。これでバーチャルなのか?嘘偽りなく?ん?なんだ?子供がゲームを耳にあてて話してやがる。」

「じゃあねー!バイバイ!」

「おい坊主。それなんだ?補聴器か?」

(補聴器?これスマホだよ)

「スマホってなんだよ?補聴器だろ。」

(これ携帯電話なんだけど)

「なんだ?子供が大人に逆らうってのか?」

(えっえっ?)

 オラっ!

 ブツンッ!

 警告:本日1回目の危険行動におよびました。

 危険と判断したため反省室へと強制移動しました。

「なんだよ。俺はただ携帯を子供から取り上げただけじゃないか。」

 警告:貴方は子供より大人の方が偉いとお思いですか?

「あたりまえだろ!力だってあたまだって俺の方が優れてる!だから子供は逆らっちゃいけない!常識だろ!」

 警告:力やあたまが貴方より優れてる。それは否定せざるをえません。このADUKiでは2022年の日本を観測しております。2022年ではそのような常識はありません。告:貴方のIQはサンプルの子供より下回っています。

「そんなわけないだろう!?因数分解だとか桶狭間の戦いだとかあんな子供にわかるもんか!」

 警告:IQとは問題を解く理解する記憶するのにいかに適しているかを示したものです。IQは脳みその構造上上がることはありません。

 告:音声のIQ.34。この時代の子供の平均IQ.75。

「は?あんなクソガキに俺以上の脳みそなんてあるわけー」

 警告:NGワードが発言されました。

 あと1回で強制log outします。

「くそっ!俺は悪くない!この○○○が!」

 通告:NGワードの回数が一定を超えました。

 強制log out中...84%

「御臨終です。あーあ。せっかくADUKiに選ばれたのに。いやだからか?」

「マスター。この2010年サンプルをどういたしますか。」

「用無しだな。ネットワークだけいただいて残りは火葬してくれ。」

「かしこまりました。脳の一部分だけを残して火葬いたします。」

 ADUKi(宇宙ではない何処かの兵器廠統合体)

 別名豆通信プログラム

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アズキ 中村翔 @nakamurashou

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