第5話 特異点へGO

「これならいける可能性が高いな。」頭を傾げていたナビが耳をピコピコさせながら言った


「どんな方法?」


「特異点の魔力を拝借して本来なら進化した角兎が得られるかもしれない能力とチートを一時的に君に与える。」


「向こうに気付かれない?」


「その辺りは賭けだ。やるか?」


「もちろん、やる。」僕は即答するとナビは首にかけた懐中時計を懐から取り出し

「では、開始」懐中時計の上部のボタンを押した。カチッっと音がした瞬間


               時が止まる


もう一度カチッと音がした。僕は体長50センチメートルの白い兎になっていた。ただ角はなくやたら鋭い前歯になっていた。


「あれ、もう終わり。」時間がかかると思っていたがあっという間に気が付くともう、終わっていた。


「うまくいった様だ。どうだ体に異常はないか?」ラビに聞かれて僕は体を動かしてみる。

「すごいね、力が湧いてくるよ。ただ前歯がやたら鋭いんだけど。」


「ヴォーパルバニー。素早くとびかかり鋭い前歯で敵の首を搔き切る死神だ。これならあの存在を斬れるかもしれん。準備は良いか?」


僕は男に集中する。男は後ろを向いており、両手剣を下段の構えで持っている状態だ。時間の流れが加速していく、周りがスローションになっていく、四角いターゲットUIが5個でて男の後頭部に貼りつく。


「ターゲットロックオン、お前を殺す」


僕は男の後背から強襲した。男の首が落ちる。男はびっくりしたような困惑したような表情のまま光の粒子となり消えていった。粒子の一部が涼真の中に入っていくが涼真はきづかない。時間の流れが戻るとともに僕は体長10センチメートルの兎に戻ると共に幽体化した。


僕は子供の目の前に着地した。子供は女の子だった。ショートヘアの銀髪で肌は雪のように白く眼は右目が金色、左目が銀色、将来有望な美しい容姿をしている、美少女だった。


「えっ?」少女は自分を殺そうとした男がいきなり光の粒子になって消えていくのを見て混乱した。足元には白い角のついた兎と男が持っていた両手剣が転がっている。


「大丈夫?、ケガしてない?」ただの子ウサギに戻った僕は少女に聞いた。でも通じていない。ラビとは話せるのに。


「話してはいない、私と君はテレパシーによって会話をしている。まだここは地球と異世界の狭間であるから、彼女とはまだ話せない。異世界に行けばいずれテレパシーによるコミュニケーションが可能になるだろう。」


「そうか、残念だなあ。」少女は色々話しかけつつ僕に触ろうとするも僕の体を彼女の手がすり抜ける。


「時間がない、急いで特異点へ飛び込め!!。」ナビは少女の10メートル後ろにある、まるで荒れ狂う黒い波の中に稲光が大量発生している大きな球体を指さした。

特異点は段々と圧縮され小さくなっていく。。


僕はまっしぐらに特異点を目指して走り出した。


「ナビット、ありがとう。さようなら。」


「角兎、行きまーす。」僕は特異点に飛び込んだ。


「待って、行っちゃダメ。」少女は両手剣背負い走り出し追いかけものの間に合わず僕に手を伸ばしたまま一緒に特異点に飛び込んだ。


バシュッと音がすると同時に特異点は消えそこにはナビットだけが残された。


「不甲斐ない父親を許せ、涼真。」ナビットはそう呟くと狭間から消えって言った。






























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