第4話 プロローグ4
異世界へ繋がるであろう穴の中を幽体?状態の僕は落下というより下から吸い込まれている感じだ。
すると僕の目の前に燕尾服を着て首に懐中時計をかけた白い兎が現れた。
「異世界への転生までサポートするホワイトナビットだ。ナビと気軽に呼んでくれ。」
渋い低音声のウサギだ。
「今から、転生のために君の幽体にアクセスして転生する兎のデータを注入する。」
と言ってラビは幽体となった僕の頭の上に座る。ラビの目の色が変わったり、点滅したりしているが僕には見えない。
体感時間は1時間ほど経った頃
「データ注入終了だ。」
「なんか。面倒くさいね。」僕の幽体が小さくなって10センチメートルほどの兎になっていた。
「君の場合特殊だからな。この世界に角兎は存在しない。なので最初から作ることになった。あとは特異点に向かうだけだ」
「特異点?」
「今から行く異世界は魔力があらゆる場所に存在しあらゆるものを形成している。それは人も魔獣も同じだ。魔獣はその割合が多いということだ」ラビは左右の耳をピコピコ折りたたみながら教えてくれる。
「この穴の出口にある特異点。簡潔に言うと超凝縮、超不安定化した魔力の塊を君の幽体に吸収させ、データを基にに角兎を形成後、無理やり転生させる。」
「無理やりって、失敗の危険性はない?」力業で転生させるんだ、失敗の心配はしておかないと。
「君の器はかなり大きいほうだが特異点の魔力をすべて受け入れたら君の器が破裂する。全部吸収する必要はない。魔力が器を満たした時点で転生するので、予想外の出来事がないかぎり君が転生を失敗することはほぼない。その為のデータ注入でもある。」
「特異点はどうなる?」
「特異点の魔力をかなり吸収するので安定化する。君が転生した時には安定化、もしくは、消えるから大丈夫だ・・・。ふむ。」ナビは右腕を顎に当てて何か考えている様子。
「どうかした?」
「この穴の出口付近に先客がいる。どうも向こうの世界の存在が特異点のを使って似たような事ををしようとしているみたいだ。」
ナビに促されて下を見ると10歳くらいの子供に細マッチョの男が両手剣を突きつけている。女の子は何かを言いながら、泣いているようだ。男はそれに対して何かを言っているが、何を話しているかわからないし上手く聞き取れない。
「君はどうしたい?」
「その子供は僕みたいに作らているのか」
「まあ、そうだろうな。」
「できるなら、助けたい。」
「何故だ。君には関係ないだろう。正直言うと厄介事にかかわっていると転生できないぞ。」
「ナビ、あの子供は僕と同じで何者かに作られた者っていったよね?。勘だよ、あの子供を助けなきゃって。僕の勘が言ってるんだ。」僕はナビに子供を助ける決意を表明する。
「あの男はおそらく異世界の大きな力を持った存在だろう。そして、君を転生させた様な男の力に近い。あの子供はその者が作った何かだ。子供を助けられるかどうか、ましてや倒せるかどうかもわからんぞ。」
「ナビ、確かにあの子供はまだ誕生していない。でもあの子は生きているんだよ、おそらく都合が悪くなったから殺すそんな理由だろう。」僕は段々怒りのボルテージが上がってくる。
「僕はその事にすごくムカツクんだ。阻止できようができまいが転生に成功しようが失敗しようが関係ない、ただの自己満足さ。」
「だからさお願いナビ、どうにか倒す方法を考えてよ。もう出口に着いちゃうよ。」
「ふむ」ナビは頭を傾げている。思考を高速回転させている様だった。
僕はそれを見て兎なのに蓄音機のスピーカーに耳を傾けて主人の声を聴いている犬を思い出した。
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