第8話 訓練エリアを造ろう
昨日から本格的にダンジョン造りを始めたわけだが、今日は訓練エリアの魔物をどうするか決めようと思う。これにはあまり興味が無いのかククルは日向ぼっこしながら本を読んでいる。
「というわけで、ベアトリスさんよろしくお願いします!」
「なんだその言い方は?まぁいいが……。初心者がまず相手にするのはゴブリンだな。様々なタイプがいるし訓練として配置するなら丁度いいだろう」と少し呆れた感じで説明してくれる。
「ふむ。ゴブリンか……確かに剣に槍から弓や魔法を使うやつとそろっているな。採用!」
「……次に素早い動きと複数で行動するウルフだな。これは初心者には結構厄介で、なめてかかると痛い目にあうからしっかり教育した方が良いな」
「ウルフは俺も初心者の頃は苦労したなぁ。初めてパーティーを組もうと思ったのもウルフを倒すためだった」マジで苦労した魔物だった。初心者の死亡率では一番高いらしい。
「あとはオークだな。動きはそこまで早くはないが、力が強く防御力が高いため攻撃が通りずらく、近寄ったところで反撃されてやられるパターンが多いから遠距離からの魔法で倒すのが効果的だ」
「オークか、俺は魔法の相性がいいから苦労しなかったが剣とか槍はきつい魔物だな。これもパーティーを組む大切さがわかるな」
俺は時空間魔法の応用で防御力無視で相手を切断するという反則的な攻撃が出来るのだ!ただこれがバレると厄介な事になるかもしれないから、みんなの前では使わなかっただけだ。
ちなみに火や水等の初級クラスの魔法なら俺も使える。と言うかみんな使える、ただ魔法使いの素質が無いと戦闘で使えるまでの威力が出せないだけだ。
「飛んでいる魔物も厄介だな、鳥や虫型の飛んでいる敵に対する対処法も訓練に入れておいた方が良いだろう」
「確かに厄介だ。飛んでるやつは基本魔法で対処して近寄ってきたら斬るって感じだよな。飛んでいる魔物で弱いのはサーベルバットとかレッドビーとかだな」
サーベルバットは牙が長いコウモリで噛みついて血を吸われる、レッドビーは少し大きい赤い蜂で毒を持っているため解毒薬や状態異常を治す魔法が必要だ。
「一応スライムも入れておくか?弱いがこれも油断して殺されるやつがいるからな」
「スライムか……洞窟タイプとか天井があるダンジョンでは上から落ちて来たりするからなぁ。一応入れておこう」
スライムは何かグニャグニャした変な魔物だ。形は特に定まって無く斬撃等はあまり効果が無く、中心に魔石がありこれを壊すと倒すことが出来る、ただ魔石を壊してしまうと収入が減るので魔法で倒した方が良い。防御力は非常に弱く最弱威力の火の魔法でも倒せる。
スライムの攻撃方法は獲物に
「取りあえずこのくらいで良いかな?何かあればその時に変えればいいしな」
「そうだな。魔物はどうするんだ?訓練するたびに呼び出すのか?」
「いや。それだと面倒だから普通のダンジョンっぽく野放しにするよ。オークとウルフは肉をドロップするからドロップ目的エリアに配置する」
「そうか。こうやって決めていくとダンジョンの形も変えた方が良いかもしれないな。草原、森、洞窟に分けようか」
「う~ん……そうだな、エリアを広げるんじゃなくて階層を増やすか?」
俺は操作盤で階層を追加する。
――――――――――――――――――
最上階 俺達の家
―――――――――――――――――――――
6階 食材エリア 海 湖 家畜 畑等
―――――――――――――――――――――
5階 ドロップ目的エリア・ウルフ オーク(肉)
――――――――――――――――――――――――――――――
4階 訓練エリア(洞窟)・ゴブリン スライム サーベルバット
――――――――――――――――――――――――――――――
3階 訓練エリア(森) ・ゴブリン ウルフ スライム レッドビー
――――――――――――――――――――――――――――――
2階 訓練エリア(草原)・ゴブリン ウルフ スライム
――――――――――――――――――――――――――
1階 冒険者ギルド 商業ギルド
―――――――――――――――――――――
地下ダンジョン
―――――――――――――――――――――
「取りあえずこれで良いか?」
「そうだな。実際冒険者ギルドとも話して決めた方が良いからな」
そうだった……冒険者ギルドにも話した方が良いよな。王国の兵士の訓練にも使えるようにする予定だったし、後で報告しないといけないな。
「あっ!そうだ!ダンジョンってトラップもあるじゃん?それについても相談したかったんだ」
「トラップか………確かに初心者には教えておいた方が良いな。死なないが痛い目には遭うぐらいのトラップなら大丈夫だろう。どういうトラップを仕掛けられるんだ?」
「いろいろできるぞ。床に仕掛けるタイプとか壁に天井とか……落とし穴に壁から矢とか毒ガスとかが出てくるやつとかあったよな、実際に経験した事のあるやつをレベルを落として仕掛けるのが良いか?」
「そうだな。初心者用の階層なら這い上がれるレベルの落とし穴と刃を潰した矢とかで良いんじゃないか?」
「それにするか。本格的なトラップは地下に造る予定のダンジョンに設置すれば良いよな」
――――トラップを考えるのは楽しそうだな…………地下ダンジョンには遠慮無しで仕掛けてやろうかな。
「―――そういえば気になっている事があるんだが、人口的に造ったダンジョンなら死人が出たら責任問題になったりしないか?トラップならどうにでも出来るが、魔物に殺されるのはダンジョンではよくある事だろう?」
―――ククルもこの話は気になるのか、こちらに顔を向ける。
確かにベアトリスの言う通り人工的に造ったダンジョンでは何かあったら責任者として責められる可能性はある。
―――だが俺には秘策がある俺だから出来る反則的な策が…………。
「それなら大丈夫だ。俺の造るダンジョンでは死人は出ないように出来る!」
「「?」」
「死人が出ないとはどういうことだ?そんな事無理だろう?」
「うん。私もそう思う」
ベアトリスとククルが無理だろうと言ってくる。本来なら無理だろうが、あるマジックアイテムと俺の魔法を組み合わせたら出来ると思っている。
「そうだな。普通ならありえない事なんだけど、マジックアイテムと俺の時空間魔法を組み合わせたら出来るかもしれないんだ。そしてそれが俺達のダンジョンの最大の売りになると思う」
「実際出来たらすごいが……どうやるんだ?」
「そんなすごいマジックアイテムなんて持ってたっけ?」
「あっイヤ……マジックアイテム自体は別にたいした物じゃ無いぞ!実際に冒険では使わなかったしな!」
「そうなのか?どんなアイテムなんだ?」
「あぁ、それは生命反応を感知する道具で、設定した範囲に生き物がいたら教えてくれるんだよ」
「なんだ魔物が近くにいたら教えてくれんだったら使えるじゃないか」
―――ベアトリスが便利じゃないかと言うがこれにはちゃんと訳がある。
「それがなぁ、実は魔物には生命反応が無いんだよ。実際には魔力の塊で生命では無いんだ」
―――実は俺はお前らの反応を確かめて裏でいろいろしていたんだ。とは言えない。
「そうなのか?それは初耳だな。確かに魔物に反応しないならダンジョンでは役に立たないな」
ベアトリスが俺の話を聞いて納得するが、それを聞いていたククルが「それならどういう目的で使うの?魔法と組み合わるって言ってたけど……」と聞いてきた。
「それは少し準備しないといけないものもあるし詳しい話は明日にしよう。時間はあるからな」
「むぅ~勿体ぶる……。気になるでしょ」
「まったくだな。まぁ時間が掛かるなら確かに明日にした方が良いかもな」
というわけで詳しい話は明日にして今日の作業は終わりにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます