第7話 ダンジョン造り本格始動!


 ベアトリスと再会したあの日から数日後にオークションが開催された。無事落札されたようで、主に船を造っている大きい商会が獲得したらしい……30億ギリというかなりの大金で。


 魔王の報酬を上回ってしまい、俺とククルとベアトリスは驚きすぎて言葉が出なかった。ちなみにオークションにかけると手数料等でギルドに20%取られるらしいが、それは仕方ないだろう。


――――なんでもかなり売れるというか技術革命が起こるレベルらしく、船にも使えるし鳥やドラゴンの様に空を飛べるのではないかと言う話らしい。


 確かにしっかりと知識と技術があれば出来るだろうと思い、これから魔動車とかがあらゆるところを走りまわる時が来るかもしれない。


「オークションも終わったし、ダンジョンに帰ろうか?」


「うん。もう用事も無いし帰ろう」


「ダンジョンに帰るって変な会話だな……」


もうこの街に用は無いからと俺達はダンジョンに帰る事にした。


「例の魔動車に乗れるんだろ?未知の物に触れる時はワクワクするな」


「そうだな、操縦はそんなに難しく無いからやってみるか?」


 街の外でストレージから魔動車を出して、ベアトリスに動かし方を教えるとすぐに操縦を覚えて乗り回している。


「これは凄いな!かなり楽しいぞ!」と、ベアトリスが珍しくはしゃいでいる姿を見れてたいへん満足である。



――――それから俺達は交代しながら操縦して、夜になると見えなくなるからライトの魔法を更に組み込んで仕様を改善したりしながらダンジョンまで帰ってきた。



「魔王城も久しぶりだな……そういえばこのダンジョンに名前は付けたのか?」


―――ベアトリスが名前はあるのか聞いてきたが、名前を付けてなかったことに今更気付いた。


「名前なんて考えたこと無かったなぁ……ククルなんかある?」


「…………ない」


ククルも何も無いらしい……まぁそうだよな。


「名前はまだ無いけど、これから考えていこう。取りあえず【名無しのダンジョン】でいいか」


「それでいいのか?」とベアトリスが呆れた感じで言ってくるが、思いつかないからしょうがない。


とりあえずベアトリスに、これから造ろうとしているダンジョンの構造を説明する。


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居住エリア(最上階)

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ドロップ目的エリア(3階)

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訓練エリア(2階)

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受付(1階)

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地下ダンジョン(地下)

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「簡単に説明するとこんな感じで造ろうと思うんだけど……どうかな?」


「―――すごいな、こんな事出来るのか?階層は広げられるなら、訓練エリアとドロップ目的のエリアは需要に応じて分けた方が判りやすいだろう。1階も広げて商業区画とか宿泊出来る様にした方が便利だろうな」


「なるほど………ここに泊まれる様にするのか。ちょっとした町みたいにするのもいいかもしれないな」


―――いろいろ必要な物を造っていったら本当に町みたいになりそうだし……。



「ちゃんと造ればかなり重宝するだろうな、とりあえず訓練エリアは近接戦闘、遠距離戦闘、回復等のサポートと分けて指導してそれから合同訓練に移行する方法がいいかもしれない。後でギルドとも話して方針を決めよう」



 ベアトリスの意見で訓練エリアを分けることにした。それから話しを聞いていたククルが合同の訓練の時にドロップエリアを使えばいいと言ってきて、確かにその方が効率も良いと思った。


「そうだ!食材エリアを造って家畜を育てるのもありか?でかい湖や海の階層を造って魚を育てるのもどうだろう?実際の運営は商業ギルドに任せればいいし」


「いいんじゃないか?内陸じゃ海の食べ物は貴重だし需要はあると思うぞ。この国じゃ取れない魚とかだったらラグーリアの商会とも問題にならないだろう。まぁそんなにたくさん流通してる物でもないし大丈夫だろうが」


 この国じゃ取れない魚か……そこまで考えてなかった。何を育てるかは考えた方がいいかもな。



「階層や場所の移動は転移魔法陣を設置すれば簡単に移動出来るし、うまく使っていこうと思う。俺達の居住エリアは移動制限を付けて他の人は使えない用にしよう」知らない人が家に来られると嫌だしな。防犯は大事。


そして少し改善したダンジョンはこんなかんじ


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最上階 俺達の家

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4階 食材エリア 海 湖 家畜 畑等

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3階 ドロップ目的エリア

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2階 訓練エリア 近接戦闘 遠距離戦闘 サポーター

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1階 冒険者ギルド 商業ギルド

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地下ダンジョン予定

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「それじゃあ造ってみようか」


 俺は操作盤を出してダンジョンを造り変える。ダンジョンを造り変えるときは淡く光るだけで振動等は無いから人が居る状態でも特に問題は無い。



「今ので変わったのか?あまり実感がわかないな……」


「わたしも」


 ベアトリスが実感がわかないと言いククルが同意している。ククルは口数が少ないから存在感が薄くなってきているな……。


「よし!それではこれから実際に造ったダンジョンを見てみようと思う!」


「わかった」「そうだな」


行こうと思ったが、そこでふと思いついた。


「そうだ……その前に新しい魔動車をつくろう」


「新しい魔動車?前もこんなタイミングじゃなかった?」


―――ククルがなんか言っている。


「確かに前も移動しようとした時だったな。今回つくるのは一人用の魔動車だ!馬のようなやつ」


「馬のような一人用の魔動車か……。それも便利そうだな」


「そうだろう!ただ形が問題でなぁ、馬の形だと何か変なんだよなぁ」


「そうか?まぁ魔動車にするなら頭の部分は要らないな。足も要らないし、胴体だけだと馬じゃないな。気味が悪いしな」


 ベアトリスが馬の胴体だけの物に乗る姿を想像して気味が悪いと言っている。確かにそれは気持ち悪い。


「その形なら魚が近いんじゃない?魚に乗るのはかわいいかも」


ククルが魚の形が良いんじゃないかと提案してきた。


「魚か…………いいかもな。ちょっと作ってみるか、材料は木で良いだろうし作りかたが分かってるなら操作盤で作れると思うんだよ。仕組みはどうなっているのか分からないけど」


(ちなみに特許を売ったら勝手に作っちゃダメだろうと思うかもしれないが、売る時に俺達は作ってもいいように条件を付けておいたから大丈夫だ。そのかわり作った物の設計図を商会に渡す必要があるが)


 そう言って俺は操作盤で3台作ってみた。形は魚の上に舵と背もたれが付いたくらが乗っている、色は単純に赤、青、黒と髪の色と一緒にした。あと舵の形を車輪のような形から【T】こんな棒に変えた。角度を変えるだけなら【T】これで十分だろうと思ったからだ。動力に関しても最初は自身の魔力で動かしていたが、特許を取る際に魔物から取れる魔石でも動くようにした。


「出来たな!舵の部分が変わっているから感覚が少し違うかもしれないから気を付けてくれ」


「棒になってる。なるほど、横にずらすだけの簡単な作りになってるんだ」


「あぁ、一人用ならそれで充分だろうと思ってな」


「うむ。一人で自由に移動出来るのはいいな」


早速みんなで乗ってみるとかなり快適で良い物が出来たとダンジョン内を走りまわった。


「それじゃあ本来の目的のダンジョンを見てまわるぞ!」と俺達は各エリアを実際に見に行き、どうしたらより良くなるか話ながらいろいろ手直しして今日は終わりにした。



こうして俺達のダンジョン造りは本格的に始まった。










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