第6話 海の街での再会
馬車で移動すると10日程かかる道を、どのぐらいの速さで移動したのか分からないが、3日で着いてしまった。
「かなり早く着いたな。これ絶対に売れるな」
「うん。間違いない」
ラグーリアに着いて俺達は、まずベアトリスを探す事にした。
「取り合えず冒険者ギルドに行ってみるか?そこしかあてが無いし」
「そうだね。いるならギルドかダンジョンだろうし」
俺達は冒険者ギルドに向かった。海が近いからか、風に乗って少し潮の匂いがしていて、いつもと違う感じに少しワクワクする。
冒険者ギルドに到着した俺達は中に入って辺りを見回と、まだ昼前だからかあまり人は居らず依頼の紙が貼られているボードの前に数人いるぐらいだった。
「人が居ないし直接受付にベアトリスが来てるか聞いてくるか?」
「その方が早いよね」
俺達は受付の若い女の子に話しかける。
「すみませ~ん。ちょっと聞きたい事があるんですけど~」
「はい!何でしょうか?って、あなたはマギ様ではないですか!!!?そちらの方はククル様では!!!?」
俺達の顔を見て驚いている。まぁ王都で手を振りながらパレードしたから知ってる人は多い。国中に俺達の顔が描かれている新聞が出回っているし、絵が売られていたりするし。
「あぁ……そうだよ。それで聞きたい事があるんだけど?」
「うわぁ!!すごい!!わかりました!!!恋人はいません!!!」
「いや……聞きたいのはそれじゃなくて、ベアトリスってここにいるかな?」
「すいません。興奮してしまいました。ベアトリス様もこの街に滞在していますよ!今はダンジョン【
「そうなんだ、ちょっと伝言を頼めるかな?帰ってきたら、俺達この街の宿に泊まってるから会いたがってるって伝えてくれる?」
「はい!わかりました。伝えておきます。要件は以上ですか?」
「うん。それだけ」
「わかりました。またのご利用をお待ちしておりますね!」
ダンジョンに行ってるらしいから、いつ帰ってくるかわからないし伝言だけ頼んで俺達はギルドを出た。
「それじゃあ、ベアトリス待ってる間にメシ食って商業ギルドに行ってくるか?」
「それでいい。魚食べる」
「魚か……海の街だし、それがいいな」
魚料理を出してくれる店でお昼ご飯を食べて、商業ギルドに向かう。
商業ギルドは商人がその街で商売をする許可をもらったり、新しい商品などの特許を取得したり出来る場所だ。
今回、俺達は自分達で開発した馬無し馬車【
商業ギルドに着いて特許取得用の受付に行く。ちなみに長い黒髪のメガネ美人だ。受付って顔で選ばれてるのか?
「すみません。特許の申請をしたいんですけど……」
「はい。申請したい物はお持ちですか?」
「はい。結構大きいんですが?」
「では、大きな物を搬入する場所がありますので、一度外に出てそちらに運んでください」
「あっはい。わかりました」
でかい用の入口があるらしい。まぁ普通はでかいの運べないよな?手ぶらな俺達がおかしいよな。
搬入口に行くとそこにも受付があったが、さっき対応してくれた人が待っていたからその人に話しかけた。
「さっきはどうも、ここに出せばいいんですか?」と言って俺は【
「えっ!?」と、おねぇさんが驚いている。少し気分がいい。
「いったいどこから……ってよく見たらあなた方は勇者パーティーのマギ様とククル様!」
俺達の素性に気が付いたらしい受付嬢が驚きの声をあげる。
「マギ様と言うことは、今のは時空間魔法のストレージですか?その魔法の研究で生み出されたマジックバックは商人に大人気ですよ!」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
確かにマジックバックは商人にはかなり嬉しい道具だと思う。俺もかなり重宝してるし。
「それでは申請したい発明品の詳細を教えて頂けますか?」
「え~と……」俺は魔動車の説明をする。
「馬が要らないですか……これはすごい発明ですよ!実際に走っているところが見たいですね!」
実際に走っている所が見たと言うので、どこか広い場所に移動しようと街の外まで行き、それから実際に操縦してみてどういう技術がどのように使われているのかより詳しく説明した。
「はい。ありがとうございます。今まで無かった物なので特許は取得できますね。これは他の職人の方でも再現可能ですし売れると思いますよ」
「俺達も自信あるんだよね。これって特許とかの仕組みってどうなってるの?」
「1つ物を作る
「なるほど…………めんどくさいから権利ごと売っちゃうか?」
「別に商売したいわけじゃ無いし。いいんじゃない?」
俺もククルも開発は面白そうだからやってるだけで、発明家でも商人でもないのでそこまで権利自体には興味は無かった。金はもらうが。
「それではギルドに戻って話をまとめますか」
「そうだな」「それでいい」
そうして俺達はギルドに戻って書類を作成してもらって正式に特許を取得した。権利の売買は「この商品ならオークションに出品した方が高く売れるかもしれません」と言われたので任せる事にした。
「オークションは5日後に行われるので、その後でまたギルドにお越しください」
「あぁ、わかったよ」とギルドを出た。
「しばらくかかるらしいからこの街でのんびりしてようか?ベアトリスもいつ戻るかわからないし」
「観光でもする?」
「それもいいな。旅はしてたけど観光ってしたことなかったし、あぁそれからアルマスとマリアンヌにも手紙出しとくか?この偉大な発明を教えてやらないとな!」
俺達は観光しながら時間を潰す事にした。あとダンジョン造りを始めたから、ベアトリスが行っている【魔海の神殿】というダンジョンも興味ある。
――――そして2日後、ベアトリスが帰ってきた。
「久しぶりだな。私を探してたようだが何か用か?」
「あぁ……実はダンジョン造りをはじめたんだけど、訓練用の魔物とかの強さってどう決めたらいいかアドバイスを貰おうと思ってさぁ」
「なんだそんなことか?いいぞ、私も何か大事な用があるわけじゃ無いしな」
「ホントか!?俺達いま元魔王のダンジョンの中に家作って住んでるんだけど、ベアトリスもそこに住むか?部屋ならたくさんあるぞ」
「あそこに住んでるのか?ダンジョンの中に居住区を造ったのか……よし!私もそこに住もう。その方がおもしろそうだ」
ベアトリスも一緒に住む事にしたらしい。嬉しいが、ククルの二の舞にならない様に気を付けないと命が危ない。
「それじゃあ、ベアトリスの引越しの買い出しにでも行くか。魔海のダンジョンについても聞きたいし、取り合えずメシ食いに行ってゆっくり話そう」
「あぁ、それでいいぞ。しばらくこの街に居るのか?」
「そういえば……俺達マジックアイテムの特許取って、その権利を今オークションに出してるんだった。え~と……あの時5日後って言ってたから、3日後のオークションに出品するって言ってたな?」
「うん。それが終わるまではこの街に居ないといけない」とククルが早く帰りたそうに言ってくる。
「特許?そんなの取ってたのか?どんなのだ?」
と質問してくる。まぁ気になるよな…………。
「馬が要らない馬車の代わりになる物を作ろうと思ってな。風の魔法で動くようにした魔動車という物だよ」
「かなりいい出来」
ククルもとくいげである。
「なるほど…………馬が要らないのか。それは便利だな、馬の世話が大変だからそれ専用に人を雇う者もいるぐらいだしな」
「実際かなり便利だぞ。ダンジョンに戻る時に乗って行くから楽しみにしておけ!」
「あぁ楽しみにしとくよ」
そして俺達は解散してからの事を話したり、いろいろなダンジョンの知識を聞いたりしながら過ごした。
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