第4話 ダンジョン造りはじめました


――――朝になった。



 今日からダンジョン造りを始めると思うと年甲斐もなくワクワクしてしまい余り眠れなかった。



―――思った以上に自分が楽しんでいる事に驚いている。



「ククルはもう起きてるかな?」


 部屋を出て宿の食堂に行くとククルは居なかった。時間的に先に来たとは思えないからまだ寝ているんだろう。


 何も急ぐことも無いので、のんびり朝食を食べながらボーっと待ってたらククルが起きてきた。


「おはようマギ。はやいね」


「おはよう。昨日全然眠れなくてほとんど寝てない」


「子供みたい」


「俺もそう思う」


―――挨拶してククルが朝食を食べ終わるのを待ってから元魔王城に向かう。



 魔王城があったのは森のダンジョンを抜けた先にあるので少し戦闘も必要なので面倒くさい俺は強いわけでは無いが全く戦えないわけでは無いでもない。


ただ勇者パーティーのあいつらが強いだけで、一般的には俺は別に弱くない。


 森や洞窟のダンジョンと塔や城のダンジョンは性質が違う、ダンジョンは神様が創ったもので中が異界化していて見た目より広く魔物を生み出す場所というのは同じだが、違う点は塔や城は強い魔物を閉じ込めておくおりの役目があるり、そいつらは自分がいる部屋からは出られ無いようになっている。そして森等の方は魔物のボスにあたる存在がいない。


 今回勇者が倒した魔王は魔物を自ら生み出す事が出来る能力を持っていて、それでたくさんの魔物がダンジョンからあふれ出た事で近くの街を襲った。



―――お昼を過ぎた頃に森のダンジョンを抜けると元魔王城が姿を現した。この城は他のダンジョンとは少し違うところがある。


 他の塔や城のダンジョンはボスを倒すとしばらくして消えるのだが、このダンジョンは消えずに残っている。


 そのわけは魔王を倒した時に手に入れたドロップアイテムが関係していて、そしてそれが人工ダンジョンを造る事が出来るかもしれないと思った理由でもある。


「取り合えず魔王がいた部屋まで行こう。ルートは覚えてるし魔物も出ないだろうからそんなに時間はかからないだろう」


「うん。着いたら先に拠点つくろう」


「そうだな。まぁストレージから出すだけだけどな」


そう言ってダンジョンの中を進んでく。


 この城型ダンジョンは一階から上に登って行くタイプの構造で、見た目からは想像できないが何と200階まであるかなりでかいダンジョンになっている。


 ただ登るだけでも大変なのに、魔物と戦いながら上に登る階段を探さないと行けなかったからマジで大変だった。ストレージが無かったらどうやって魔王まで辿り着くのかわからない。


「…………だいぶ疲れたから今日はもう拠点作って終わろうか?」


「………………うん」



ククルがふらふらしながら頷く、俺もククルも基本的に怠け者だからな。



 ダンジョンの中は城って感じのフロアもあれば何故か草原や洞窟といった場違いな様子のフロアもある。197階が草原フロアだったのでそこに家を置くのに丁度いいだろう。



「―――50階まで来たから一度休憩しよう」


「―――さんせい。疲れたし、お腹空いたからおやつ食べよう」


俺とククルはおやつタイムに突入してこれからの事を少し話した。


「ダンジョンを造るって具体的にどうやるの?」


ククルがやっとその質問をした。何気に誰にも聞かれなかったんだよなぁ…………。


「魔王を倒した時のドロップアイテムを使うんだよ」


「ドロップアイテムなんて落としてたんだ?」


「(ドキッ!!)あぁ……魔王を倒した瞬間はそれどころじゃなかったし言いそびれてしまってな」


「ふ~ん…………。確かにそれどころじゃなかったかも」


いや、これに関しては別にちょろまかしたわけじゃない。


 本当に言いそびれただけだ。後ろめたい事があるからちょっと言葉に狼狽えただけだ。


「そうだろ?アイテムについてだが、【ダンジョンコア】っていう宝石のようなアイテムと【ダンジョンマスターの証】っていう金属のプレートみたいなアイテムの2つで、調べてみたらダンジョンを好きに改造出来るアイテムだったんだ」



 いろんなものを鑑定出来る虫眼鏡みたいなアイテムが有り、それで調べた結果ダンジョンを好きに改造出来るトンでもアイテムだった。



「…………そんなアイテムあるんだ?だからダンジョンを造れると」



―――ククルがかなり驚いている。


無理もないこんなの初めてみただろうからなぁ今まで無かっただろうし。



「体力も回復したしもう行くか!明日実際に使ってみるから楽しみにしてろ!」


「うん!たのしみ!」


ククルが笑顔で言ってくれる。かわいい。


―――それからまた道を進んで行くが80階の所で恐ろしい事に気付いてしまった。


(もしかするとダンジョンを改造したらこの階段を登らなくてもよかったのではないか?)


―――やってみるのも怖いがククルに言うのも怖い。だが階段をこれ以上登りたくないのでやるしかない。


 俺はダンジョンマスターの証を取り出しダンジョンの階層を全10階になるように造り変えた。


そうしたらダンジョンが光だし、俺達は最上階の魔王がいた場所に立っていた。


「マギ?これ何?どうして最上階にいるの?」


ククルが驚きながら聞いてくる。


「いや…………え~と、ダンジョンを改造したら登らなくていいんじゃないかと思ってやってみたら、出来たんだ……………………」


「……………………」


ククルが何も言わずに杖を俺に向けて魔法の詠唱をはじめた。


「ちょっとまって!!!ごめんなさい!!!!許してください!!!!!」


「ナンデモットハヤクキズカナイノ?」


ククルの喋り方が怖い。ククルの顔が怖い。ククルの全てが怖い。


「本当にすみませんでした!!!今度からは気を付けます!!!」


「…………ニドメハナイ」


「はい!!すみませんでした!!」


―――何とか杖を収めてくれた。


「え~と…それじゃあ草原フロア出して拠点を作ろうか」


 俺は魔王の部屋の上の階に草原フロアを造る。自分たちの拠点は最上階にしておいた方がいいだろう。


 俺はストレージにしまっていた家を出した。個室が10部屋あるそこそこ大きな家でククルが広い風呂があるのが気に入ったらしくこの家に決めた。


「よし!中に入って休もう。ソファーとかどこに置くかククルが決めていいぞ!」


「私が決めていいの?それなら好きにするけど」


「いいぞ。俺は家具の配置とかこだわらないからな」


 ククルが家具の配置を決めていって、俺がそれに従って家具を置いていく。そんなに物があるわけじゃないから小一時間程で終わったてソファーに座ってだらけている。


「やっと終わったな。すげぇだらけてきた」


「うん…ごはん食べて寝ようか」


「そうだな…メシ食ってさっさと寝るか。てきとうでいいよな?」


 そういってパンと肉料理やサラダ、スープと出していく。俺とククルは酒はあまり飲まないから水と果実水と氷を出す。


「さすがマギ。素晴らしい魔法ね。旅に行くときは絶対にいてほしい」


「そう言ってもらえると嬉しいね」


 夕食を食べながら、明日からの事やアルマス達は何やってるんだろうとか話して眠りについた。


ダンジョン生活の初日は自分達の家を造って終わった。




































































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