第54話
(執事ネリー視点)
あの小娘、子爵かなんだか知らないが、俺の邪魔をしやがって。
この家は当主が馬鹿だから、使用人はみんな多かれ少なかれお金をくすねているはずだ。俺も戦闘集団に渡していた金から少しずつ頂戴していたが、まさか今になって領収書を出せと言われるなんて。
そもそもあの領収書には戦闘集団の頭のサインしか入っていなかったし、証拠隠滅のために俺が処分したからもう残っていない。
でもそんなこと言えないし、偽造するにも時間が足りない。
いつもの毒であの小娘は始末できているだろうが、念の為にここは逃げるべきだろう。
ネリーが金目のものをバッグに詰めてこっそりと裏口から出ると、空間が歪んで見えた。
その部分を触ってみると、まるで見えない壁に阻まれているようだ。
「これは、結界魔法というやつか!まさか、逃亡を防ぐために仕掛けられた?」
ネリーがそう呟くと、物陰から返事があった。
「ええ、そうよ。あなたを窃盗の現行犯で捕縛します。その他にもいろいろ知っているでしょうから、余罪を吐いてもらうわよ。」
忌々しい小娘め。俺はこれでも昔は暗殺者だったんだ。ここで始末してやるよ。
ネリーが懐の暗器に手をかけ、マリーナを殺そうとするが、どういうわけか全く動けない。
「強制スリープ!あなたは3日間寝ていてちょうだい。」
マリーナがそう魔法を唱えると、ネリーの意識はそこで途絶えた。
意識を失う刹那、ネリーは恐ろしい言葉を聞いた。
「面倒だから、寝ている間に脳内スキャンと映像化の魔法をかけようかしら?」と笑顔で囁くマリーナの言葉を。
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