第53話

泡を吹いて倒れたネズミを見たワルシャワ男爵の面々は、主人も使用人も皆が怯えたような表情をしている。


みんな何かを知っているのかしら?

「ねえ、そこのあなた。そう、そこのメイド服を着た長身のあなた。なぜ怯えているの?」


メイドは主人をちらりと見るが、主人である男爵はまだ目線を彷徨わせたままである。

メイドは少し息を吐くと、話し始めた。


「はい、私ども使用人の間では、この現象は祟りだと言われております。

5年ほど前から、このように急に泡を吹いて倒れる者がたまに出まして。

まずは毒物の混入を疑ったのですが、専門家を呼んで鑑定してもらっても毒物の反応は出ませんでした。その後、同じような症状の者が複数出たのですが、毒物反応はいずれも出ておりません。」


「今回は私が毒物鑑定して差し上げるわ。毒物解析魔法発動!」

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<毒物>あり

<成分>シクトキシン(セリ科ドクゼリ由来)

<詳細>主に根に含まれる。摂取すると数分後には中毒症状が現れる。症状は、口から泡を吹き、中枢神経が侵され、けいれん、めまい、嘔吐、皮膚の発赤が現れ、最後に呼吸麻痺を起こして死に至る。

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「これは猛毒ね。このレベルの毒が検出されないなんておかしいわね。」


「何の毒だったのですか?」男爵が再起動した。


「その前に、毒物鑑定の専門家を手配していたのは誰ですか?」


「それも執事のネリーです。」


絶対何かあるわね。執事を逃さないようにしないと。

マリーナは結界魔法で建物全体を包囲したのだった。

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