第34話
マリーナとモリソンはロシナンテ公爵家からの帰路についていた。
訪問販売はとても好感触で、奥様とお嬢様より大量注文をいただいたのであった。
初めはマリーナを平民の小娘だと見下していたお嬢様も、
商品の使用感や目の前でマリーナが使う魔法を目の当たりにして、帰宅の頃にはすっかり商品やマリーナを誉めてくれるようになっていた。
2人は今後の方針のあれこれを相談しつつ、お店に戻ると、そこにはナイトハルトとその側近がいた。
「マリーナ、話がしたい。少し良いか?」
モリソンが頷いたので、後の仕事を彼に任せて、ついていくことにする。
ナイトハルトはモリソンに何かを耳打ちしてからマリーナを馬車に乗せると、自分もマリーナの向かいに座り、話を始めた。
「この中ではナイトハルト殿下とお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」
「いや、馬車が王宮に着くまでは普段通りで頼む。」
「ではハルト、今日は急にどうしたの?なんで私のような平民が王宮に行くの?」
「どこから話そうか。マリーナは爵位に興味がある?」
ナイトハルトは、
隣国のあの子爵家の夫妻が犯罪で捕縛されたこと、
そのためにマリーナが爵位継承者候補1位に上がったこと、
元子爵夫婦が伝言で「今度は仲良く一緒に暮らそう」と行っていること、
を伝えた。
あの人達と仲良く?絶対に嫌よ。あんな仕打ちをしておいてそんなことを言うなんて、絶対におかしいわ。
私が爵位を継いであの人達と暮らせば、また私をいいように使えると思っていそうだわ。
「爵位を継がない場合、どうなるの?」
「どうにもならない。別の誰かが継ぐか取り潰しになるだろうが、マリーナに影響はない。」
「爵位を継いで、家を継がない場合は?」
「あの子爵家は領地持ちだから、領地を経営する責務がある。
家を継がないというのが、今ある屋敷に住まないという意味なら、別の場所に領主邸を立てれば良いので問題ない。」
なるほど、少し考えて動くべきね。
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