ダンタリオンの手記 『悪魔界の行く末』

悪魔暦千二百三十八年 五月十七日午前九時九分 天気晴れ


 住民の避難作戦が終わった。

 私達の陣営が軽い被害だったのは幸いだ。相手方の軍団にはかなりの大打撃を与えたはずだ。少しの間、軍備補給のために敵は大きくは動けないだろう。

 参謀長として戦闘終わりの後始末は必ずしなければいけない面倒な仕事だ。

 序列十四位のレラジェ君を瀕死に追いやったというから、全く大和君の成長には目を見張るものがある。保護対象をどこでもここでも連れ回すのは如何なものかとは思うが。今更か。

 さて、束の間の平穏を利用してグレモリー達は悪魔界上層部に会いに行ったらしい。目的は「大和君殺害の犯人」の手掛かりを探すためという。サミジナとマルバスも連行された。戦力が減るのは好ましくないが、アミーがいるから大丈夫だろう。

 私も彼らには聞きたいことが幾許かはあった。だがそれはまたの機会だ。さすがにアミーだけじゃ不安だ。

 ま、土産話を楽しみにしておくとしよう。

 彼らには彼らの、私には私の解釈というものがある。視点は多い方が有利だ。

 ところで私は一つ、危惧していることがある。

 それはこの戦争はどう終わるのか、だ。

 もはやソロモン七十二柱だけの問題じゃなくなりつつある。上層部はグレモリー達とコネクションがあるから、味方してくれると思う。

 同盟とも取れる行為をアガレス達はどう動くかな。一つ考えられるのは悪魔界三大勢力の残りを頼ることだ。

 アガレス達が奴らと手を組めば悪魔界がいよいよ崩壊しかねないな。

 非力な私が補助しかできないのが歯痒い。

 でも出来ることをやるしかない。

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