第504話 西瓜割り その1

「うん!」

「良いんじゃない!!」


「みんなで遊びましょう!」

「武蔵君!!」


 亜紀は、穏やかな表情で俺に話す。

 俺が言葉を発する前に、虹心は笑顔で亜紀に話し始める。


「じゃあ、亜紀さん!♪」

「あっちの砂浜で、ビーチボールを用意して桃香ちゃんが待って居ますから、其処でビーチボール遊びをしましょう!!♪」


 虹心は言葉を終えると、桃香ちゃんが居る方向へ歩き出す。

 俺と亜紀も虹心の後を付いて行き、桃香ちゃんと砂浜で合流した所でビーチボール遊びを始める。


 これも、海定番の遊びだ!!


 ☆


 4人で30分ぐらい……砂浜で、ビーチボール遊びをした所で桃香ちゃんが『喉が渇いてきたね!』と、和やかな表情で言ったので、ビーチボール遊びは終了となって、今度も海定番の、西瓜割りをすることに成る。


 西瓜はレジャーシートを敷いた場所に置いて有るので、みんなでレジャーシートを敷いた場所に戻る。

 みんなでレジャーシートが敷いて有る場所に戻ると、何時の間にか兄はビーチパラソルをレンタルしたようで、ビーチパラソルが立っていた!


 ビーチパラソルのお陰で、レジャーシートに日陰が出来ており、その中で兄と小織さんは涼んでいた。


「おっ! 休憩か!!」


 俺たちが声を掛ける前に、兄が和やかな表情で話し掛ける。

 虹心は兄に向けて、笑顔で話し始める。


「そう。休憩!」


「お兄ちゃん!」

「みんな喉が渇き始めたし……持って来た西瓜を割って、水分補給でもしようかと!♪」


「西瓜を割るか。虹心!」

「なら、準備するか!!」


 兄は、虹心に和やかな表情で言い終えると立ち上がり、西瓜割りの準備を率先して始める。

 西瓜は大きなレジ袋の中に入っており、準備が良い虹心は目隠し用のタオル。西瓜を割る角材、鞘に収められた包丁など、西瓜割りに必要な道具は全て揃っていた。


 俺たちのレジャーシート付近で、西瓜割りが始まる。

 都合良く、周囲に人も居ないので、今が西瓜割りチャンスで有る!!


 さて……誰が西瓜割りに、参加するのだろうか?


 ……


 西瓜割りを名乗り出たのは虹心と桃香ちゃん……そして、意外に亜紀で有った!

 俺も参加したい気持ちは有ったが、羞恥心が上回ったため参加を見送る!///


 順番を決める3人での“じゃんけん”の結果。亜紀→桃香ちゃん→虹心の順番と成るが、もしかしたら最初の亜紀で、西瓜を見事に割ってしまうかも知れない?


「……」


『グル、グル、―――』


 タオルで目隠しされた亜紀は、虹心と桃香ちゃんの指示で、亜紀自身で体を回転させて亜紀の方向感覚を失わせる。

 ゲームの主導は、この3人で有る。


 そして、西瓜割りが始まる。

 西瓜を叩くチャンスは、1回のみらしい?


「……」


『てく、てく、―――』


「亜紀さん!」

「もっと、右ですよ~~♪」


「……」


『てく、てく、―――』


「お姉ちゃん!」

「そっち行き過ぎ~~♪」

「バック、バック!!」


「~~~」


「~~~」


 亜紀と桃香ちゃんが、楽しそうな表情で亜紀を誘導する中。兄と小織さんはそれを微笑みながら見ている。

 俺も微笑みながらと言いたいが、亜紀が一発で西瓜を割ってしまったら、これでゲームは終わりと成る。


(亜紀のことだから、一発で西瓜に当てたとしても、西瓜を割るまでの力は掛けないだろう…?)


「…お姉ちゃん。ストップ!」

「西瓜は、目の前だよ!!♪」


『ピタッ』


「……」


 笑顔で言う桃香ちゃんの言葉で、目隠しされた亜紀は立ち止まる。

 やはり運動神経の良い亜紀は、戸惑いながらでも西瓜の真正面まで来た!


 後は亜紀が腕を大きく振り上げて、西瓜を割るだけで有るが……


「……」


『パコン…!』


 亜紀は西瓜に木の棒を見事に当てたが、木の棒は西瓜で跳ね返り、西瓜は割れるどころかヒビすら入らない!


「あ~~。割れるかな~~と思っていたのに!///」

「西瓜を当てた場所も問題なかったし!!」


 虹心は、困った笑顔で言っている。

 だが、俺は心の中では『やはりな…』と、感じていた。

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