第415話 モザイクアート制作 その2

「あっ、高岡…!」

「俺……亜紀と待ち合わせをしているんだ!///」

「亜紀は今回。初参加だから……///」


 俺は、少し困った表情で高岡に言う。

 モザイクアート制作に、亜紀も参加表明をしたからだ。


『私も勉強ばかりで無く……武蔵君と青春を作らないとね』

『去年は葉月祭なんて関係なく、目の前のことしか見ていなかったら…』


 特進コース生の殆どは帰宅部で有るが、エリートの特進コースは幼稚なモザイクアート制作に参加なんかしない。

 そんな暇が有れば、勉強や塾に行く人達だ。


 だが、その中でのエリートのエリートで有る、亜紀が参加を表明した。

 これは俺が誘ったのでは無く、亜紀が興味を示した。


 初参加に成る亜紀を、俺がリードする(?)形で有る。

 実際は……生徒会の言うとおりに動けば良いだけだが///


「あっ、そうなんだ!」

「じゃあ、僕は先に行くね。三國!!」


 高岡は穏やかな表情で俺に言って、モザイクアート制作と成っている教室に向かって行く。

 カバンをその教室に持っていっても邪魔に成るので、カバンは自席に置いたまま亜紀を迎えに俺は行く。


 ……


 葉月祭が近付こうが、特進コースは何時も通りで有る。

 俺たち普通コースは放課後と成る時間でも、特進コースは特別授業が有るが、1年生は無いそうだ。


 亜紀から聞いた話しだと、3年生に成ると18時ぐらいまで特別授業が有るらしい。

 だが、あくまで特別授業なので参加は任意らしいが、殆どの人が参加するそうだ。


 亜紀との待ち合わせは、特進コース2年生の教室前では無く、昇降口で待ち合わせをする。

 その時間の特進コースは、特別授業中だからで有る。


「……」


 俺は昇降口に到着して、しばらく亜紀を待っていると……亜紀が姿を見せて、穏やかな表情で声を掛けながら近付いて来る。

 亜紀の手にはカバンを持っている。


「お待たせ。武蔵君…!」

「……待った?」


「いや、俺も今来たところ!」


 俺は和やかな表情で、定番の台詞を亜紀に言う。

 亜紀は俺の側に来て、表情を変えずに話し始める。


「じゃあ、行きましょうか。武蔵君」

「葉月祭の展示制作へ!」


「だね。亜紀!」


 俺は和やかな表情で亜紀に返事をして、モザイクアート制作と成っている教室に向かう。

 だが、その前に、亜紀のカバンをそのまま持って行っても邪魔に成るので、俺の教室の自席に置いて行って貰う。


 俺の自席に亜紀のカバンを置いてから、モザイクアート制作と成っている教室に向かう。

 場所は高等部(新)校舎1階の、普段使われていない教室を制作室に充てている。


『ガラッ!』


『がや、がや、―――』


 俺はモザイクアート制作と成っている教室の扉を開けると、もう既に作業は始まっており、各自が椅子に座って作業をしている。

 一人で作業をしている人もいるが、親友同士で楽しく喋りながら作業している人達もいる。


 生徒会の腕章を付けた男子生徒が扉を開けた音で気付き、俺と亜紀を見ながら和やかな表情で声を掛けてくる。


「…参加希望者ですか?」


「はい。そうです!」

「俺と彼女の二人です!!」


「……」


 俺は生徒会の人に和やかな表情で言うが、亜紀は澄まし顔のままで発言はしない?

 亜紀は俺を立てているのだろうか?

 生徒会の人は俺と亜紀に向けて、和やかな表情と丁寧な口調で話し始める。


「では、最初に簡単な説明をしますから、こちらの方へ来てください」


 声を掛けた人及び、生徒会の人達は教壇付近で陣取っており、俺と亜紀をそちらの方へ来るように促す。

 俺と亜紀は生徒会の人に言われたとおり、教壇の方へ向かった。

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