第413話 虹心へ戦果報告 その3

 ……


 俺は虹心に、今日の放課後出来事を話している。

 虹心は時々、相槌を打ちながら聞いてくれた。


「まぁ、兄ちゃんは、髪の毛を少し切られただけで済んだわけだ!」

「本当に、伊藤さんに感謝だね!♪」

「めでたし、めでたし!!♪」


 俺は虹心に話し終えると、虹心は笑顔で俺に言う。

 俺は穏やかな表情で、虹心に話し始める。


「これで、俺と伊藤さんを邪魔する奴は消えたわけだが、しばらくの間は『針のむしろ』だろうな…」


「言葉の割には、余裕の有る顔だね」

「兄ちゃん!」


 虹心は『針のむしろ』を理解しているので、和やかな表情で俺に言う。

 俺を敵対視する目線は確かに怖いが、物理的な攻撃をされなければ、其処まで恐れることは無い。


「でもな、虹心…」

「虹心の方も、一応用心はしとけよ」

「松田達が絶対に、虹心たちの方へ来ない保証は無いからな!」


 俺は眉をしかめながら、虹心に話す。

 虹心は穏やかな表情で、俺に話し始める。


「うん。分かった!」

「私も、情報収集レベルを上げて、奇襲されないように心掛けるよ!」


「でも、私は兄ちゃんと違い、一人で行動することは少ないから、余程大丈夫だと感じるけど」


「虹心は、スクールカーストの上位に入るからな…」

「虹心も伊藤さんや陽葵先輩のように、かなり男子からは好かれているらしいしな!」


 俺は、納得した表情で虹心に話す。

 虹心は笑顔で、俺に話し始める。


「そうだけど~~。一番好きなのは兄ちゃんだからね~~❤」

「兄ちゃんの彼女が伊藤さんだから、私は素直に引くけど、これが二村さんだったら私は反対しているかも~~?♪」


「過ぎた話しだが……虹心は、二村だったら反対しているのか?」


 俺は虹心の言葉の後。怪訝な表情で虹心に質問をする。

 虹心は穏やかな表情で、俺の質問に答え始める。


「兄ちゃん。これは、私の推測だけど……二村さんは確かに兄ちゃんのことは好きだったと思うけど、伊藤さんほど真剣に、兄ちゃんを好きでは無かったと思う」

「現に、伊藤さんと二村さんが喧嘩をした時。二村さんは兄ちゃんと伊藤さん、両方のえんを一方的に切ってしまった」


「この時。二村さんが兄ちゃんのことを本当に好きなら、やきもちでも、其処までのことはしない!」

「二村さんが兄ちゃんに好意を持ったのは、真の恋愛では無く、兄ちゃんを上辺だけで見ていたんだろうね」


「兄ちゃんの本性を知らない人から見れば、寡黙なイケメンに成るからね♪」

「そして、二村さんは兄ちゃんの本性を見て幻滅して、松田さん達に乗り換えた」


「私は、こう分析する!」


「……」


(……頭脳明晰な妹だ!)

(俺には言わなかったが、きっと亜紀も、其処まで分析していただろうな…)

(二村が真剣に、俺が好きでは無かった事を……)


 虹心が俺に言った言葉は、多分間違っていないだろう。

 二村が本当に俺の事を好きなら、一時的に距離を開けても、何処かで修復を試みるからだ。


 だが、二村は修復を一切しようとはせずに、松田達の方へ溶け込んで行った。


「相手が伊藤さんだから、私は少し悔しいけど、素直に引くよ!///」


 虹心は少し頬を染めて、困った笑顔で言う。

 俺は優しい表情で、虹心に話し掛ける。


「……虹心」

「俺と亜紀との交際を認めてくれて、ありがとう///」


「うん…!」

「私も、これで一安心だ!!」


 虹心は嬉しそうな表情で、俺に言ってくれる。

 後はこのまま、何も問題が起きなければ、俺は亜紀と学園内でも堂々と付き合えるだろう……


 ……


 虹心との会話も終わり、俺は自室に戻った。

 明日の学園生活は無事に始まり、無事に終わるのだろうか……

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