第412話 虹心へ戦果報告 その2

「虹心!」


「なに?」

「兄ちゃん!」


「ちょっと……虹心に話したいことが有るから、このまま一緒に虹心の部屋に行って良いか…?」


 俺の言葉で、虹心は和やかな表情で返事をするが、俺が本題を切り出すと、虹心は『何かを察した』表情で言い始める。


「話したいこと……あぁ、なるほどね!」

「いいよ!♪」


 だが、最後の文章は笑顔で言ってくれる虹心。

 今から虹心の部屋で、今日の放課後出来事を報告する……


 ……


 俺は虹心と一緒に虹心の部屋に向かい、今晩はクッションへお互いが座りながら会話を始める。

 もちろん、対面座りで有る

 虹心から、俺へ話し始める。


「まぁ!」

「兄ちゃんの言いたいことは大体分かるけど、伊藤さん関連だよね!」


「今回も、兄ちゃんは誰かに苛められて……髪も、悪戯されちゃった…?」


 初めの文章は穏やかな表情で言う虹心で有るが、後半の文章は困った微笑み表情で言う虹心!

 此奴はドローンのように、常に俺の行動を謎の力で監視しているのか!?


 俺は少し頬を染めて、困った笑顔で虹心に話し始める。


「あはは……///(汗)」

「虹心の言う通りだよ…///」


「それで、今回は誰が助けてくれたの?♪」

「やっぱり、岡谷さん!?♪」


 だが虹心は、俺を心配する素振りを一切見せず、満面な笑顔で聞いてくる!!

 虹心の洞察力は素晴らしく、俺がほぼ無傷なのを見抜いているから、こんな軽口を言えるのだろう。


 俺は真面目な表情と、もったいぶる口調で虹心に話し始める。


「虹心……。聞いて驚くなよ…!」

「今回……俺を助けてくれたのは、俺の彼女なんだ!!///」


「~~~♪」


「ほぇ…!?♪」


 虹心は笑顔の表情だが、顔に汗マークが出ている様な表情を見せる。

 伊藤さんを知っている人なら、誰だって驚くからだ。


 伊藤さんは温厚な性格で有り、攻撃的では無いからだ。

 虹心は笑顔から“びっくり”表情へ変わり、驚きの口調で俺に話し始める。


「伊藤さんが……兄ちゃんを助けた!?///」

「普通は逆でしょ…。兄ちゃん!??」


「……虹心の言いたい事も分かるが、俺は伊藤さんに助けられた…///」

「伊藤さん…。中等部まで空手をしていたんだって!///」


 俺は少し頬を染めながら、困った表情で虹心に言う。

 虹心は俺の言葉を聞いて、納得した表情で俺に言い始める。


「あ~~。伊藤さん、空手を学んでいたんだ!」

「兄ちゃんの言葉からして、伊藤さんはかなり強うそうだね!♪」


「……すごく強いぞ。虹心…!」

「伊藤さんは威嚇で、松田に向けて右足を蹴り上げたが、見事な物で有った…」


 俺はやや興奮した表情で虹心に話すが、虹心は和やかな表情で俺に話し始める。


「良かったね。兄ちゃん!」

「文武両道に恵まれた人を彼女に出来て!!」

「これで、後は結婚までに持ち込めれば、兄ちゃんの人生は安泰だね!!♪」


「けっ、結婚って……虹心!?///」

「俺が伊藤さんと付き合い始めたのは、月曜日の夕方からだぞ!///」

「この先の行方も分からないのに、結婚は急ぎ足過ぎるよ///(汗)」


 俺は少し頬を染めて、焦った表情で言う。

 だが虹心は、茶化しながら俺に言い始める!


「でも、兄ちゃん!♪」

「伊藤さんのような人は、この世にそうそう居ないよ!!」


「尻に敷かれる覚悟で、兄ちゃんは伊藤さんに愛されないと!!♪」


(亜紀の尻に敷かれるって……虹心///)


 俺は亜紀のことが好きだから、尻に敷かれても問題は無いが(!?)、でも、それは男として……駄目だろうと、俺は感じてしまった!///

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