第386話 放課後の打ち合わせ その2

「武蔵君は本当に、時間を律儀に守る人だね…」


 亜紀さんは澄ました表情で、俺に呟くように言う。

 俺は穏やかな表情で、亜紀さんに話し始める。


「時間を守るのは人としての、最低のルールですからね!」

「亜紀さん!!」


「……///」


「それは、とても良いことだわ」

「私も、時間にルーズな人間は嫌いだから…」


 亜紀さんはしばらくの沈黙の後。澄ました表情で俺に言う。

 亜紀さんは、表情を変えずに言葉を続ける。


「さて……今日は、何処で打ち合わせをしようかな?」


「?」

「亜紀さん…。何時もの自習室では無いのですか?」


 亜紀さんがそう言うので、俺は尋ねる表情で亜紀さんに聞く。

 すると、亜紀さんは少し困った表情で俺に言い始める。


「ちょっと……自習室は、使いにくく成ったのよ///」

「やっぱり、自習室は勉強をする部屋で有って、相談をする部屋ではないから!///」


(教員かクラスメイトに、何かを言われたのかな?)

(自習室が駄目なら、何処で相談をするべきだろう……)


 俺は心の中で、相談出来そうな場所を考え始めようとすると、亜紀さんが穏やかな表情で話し掛けてくる。


「武蔵君!」

「もう、私たちは周りを気にしない関係だから、駅前のハンバーガーショップで打ち合わせをしましょうよ!」


「!!///」


 俺は亜紀さんの言葉で驚く!

 俺との関係を隠したがっていた亜紀さんが、急に積極的に成ったからだ!?

 俺は驚きながらも、亜紀さんに聞き始める。


「えっ!?///」

「良いのですか。亜紀さん!?」

「そんな、人目の付きやすい場所で!!///」


「……」


 俺の言葉で亜紀さんは澄ました表情に変わるが、少し頬を染めて恥ずかしそうに言い始める!!


「うん///」

「武蔵君とは、もう良い関係だからね!///」

「だから、ハンバーガーショップで今後の打ち合わせをしましょう!!」


「……//////」


(これは亜紀さんと恋人関係に成れたと、解釈して良いのだろうか?///)

(だが、亜紀さんは良い関係としか言っていない)


 俺は素直に喜びたいところで有るが、話がうますぎる気もする!?

 昨日の再開で直ぐに恋人関係は、非現実的過ぎるからだ。


「武蔵君もハンバーガー好きでしょ!」

「それとも、ファミレスの方が良い?」


「……//////」


 亜紀さんは穏やかな表情で、俺に打ち合わせ場所を聞いてくる。

 余りの突然の出来事で、俺の心はパニックってしまっているが、俺は頬を染めた恥ずかしそうな表情で亜紀さんに言い始める。


「えっと……では、ハンバーガーショップで打ち合わせをしましょう!//////」

「ファミレスも良いですが、雰囲気はハンバーガーショップの方が好きですので!//////」


「?」

「武蔵君は何を緊張しているかは分からないけど、じゃあハンバーガーショップに行きましょうか!」


 俺はテンパっているのに亜紀さんは、落ち着いた態度と穏やかな表情で俺に言う。

 亜紀さんの急な変化に、俺は驚くしか無かった……


 ……


「―――」


「―――」


 俺は亜紀さんと一緒に、学園から駅前のハンバーガーショップを目指して向かうが、その間は雑談以上の話しは出来なかった。


『此処で、打ち合わせをするのは相応しくない』と、亜紀さんは真面目表情で言うからだ。


 しかし、ハンバーガーショップなら、打ち合わせをしても良い??

 俺と亜紀さんはこれから、スパイ活動の打ち合わせでもするのだろうか??


 向かう途中。同学年の数人に、俺が亜紀さんと一緒に歩いているのを見られるが、小声で話される程度や、顔をしかめる程度で有って、何かを言ってくる気配は無かった。


 だがこれで、俺と亜紀さんが深い関係で有ると、一気に学年中に知れ渡るだろう……

 夕方の町並みを見ながら俺は亜紀さんと一緒に、駅前のハンバーガーショップに向かった。

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