第385話 放課後の打ち合わせ その1

「……虹心は、今から部活か?」


「そうだよ。兄ちゃん!♪」

「いよいよ、葉月祭(文化祭)が近付いて来たからね!♪」

「幽霊部員の私も、頑張って化けて出て来ないと!!♪」


 俺は穏やかな表情で虹心に聞くと、虹心は嬉しそうな表情で俺に言う。

 葉月学園の文化祭で有る葉月祭は再来月。第一週末に行われることが決定している。


 今が、10月中旬になので、期間で言えば約一月半後で有る。

 演劇部は大道具や小道具。衣装製作も有るから、他の部より遙かに早く動き始める。


 演劇部の活動は、夏時期の小演目と葉月祭しか無いし、メインは当然、葉月祭で有る。

 また、地域の人たちもそれを楽しみにしているので、演劇部もそれに応えて張り切る?


 そのため、10月に入ってから、虹心は演劇部に化けて出ることが多く成ってきた!?

 虹心が一番真面目に、部活動をする期間だ!?


「じゃあ、兄ちゃん!」

「今日は、兄ちゃんとは遊んでいられないから、私は部活に行くね~~♪」


「でも、まだこの時期は、何時もの時間に帰って来るからね~~♪」


 虹心は笑顔で言って、手を振りながら俺の元から離れていく。

 虹心は何時もの時間と言ったが、それは『長居をしない』での意味である。


 虹心は雑用がメインだから、雑用が済めば、部活動中に帰っても全く問題無いそうだ。

 軽く虹心から小馬鹿にされた気がするが、俺と虹心の関係はこんな物で有る。


「……たっく、妹とは思えない妹だ!」

「まるで……幼なじみと言えるぐらいの関係だ!///」


 俺は呆れた表情で、俺から笑顔で去って行く虹心に呟く。


 俺と虹心は兄妹だけど、兄妹以上の関係を持ってしまっている。

 兄妹でもキスはするし、兄妹以上のスキンシップもする。


(本当に、俺と虹心は実の兄妹なのか?)


 俺は最近。虹心が本当の妹かと疑う時も有るが、そんなことを母親には聞けないし、役所で調べるのも億劫である。

 それにもし、本当の兄妹では無かったら、お互いが複雑な気持ちに成ってしまう!//////


(……虹心のことは置いておいて、今は亜紀さんだ!)

(俺は亜紀さんと、先が見える話しが出来るのだろうか…?)


 俺はそんなことを思いながら、約束の時間が来るまで、ベンチに座りながら時間を潰した。


 ……


 約束の時間が近付いて来たので、俺はベンチから立ち上がり、空き缶はきちんとゴミ箱に捨ててから、俺は高等部校舎に戻る。

 昇降口で上履きに履き替えて、俺は特進コースが有る教室に向かう……


 俺は、16時半の5分前に特進コース教室に到着するが、まだ2年生教室の扉は閉まっている。

 1年生の教室は扉が開いており、室内は無人で有るが、2年生・3年生の教室扉は閉まっている。


(少し早かったか…)

(まぁ、良い。人の邪魔に成らない場所に待っていよう!)


 特進コースはこのフロアに、全学年の教室がまとめられて配置されているが、特進コースのテリトリーと成るため、特進コース生以外の往来は少ない。

 だが、そんな場所に普通コースの俺がいるから、本来なら教員に注意される可能性も有る!?


 ……


『ガラッ!』


 16時半を5分ほど過ぎた時に、特進コース2年生の教室扉が開く。


『がや、がや、―――』


 教室から、男女達が和やかな表情で続々と出てくる。

 エリート集団だけ有って、みんな真面目そうな顔だ!!

 俺はそれを澄ました表情で眺めながら、亜紀さんが教室から出て来るのを待つ。


「じゃあね。伊藤さん!」


「うん。バイバイ♪」


 しばらく、2年生付近の教室で待っている俺で有るが、亜紀さんがクラスメイトから、別れの挨拶をされながら教室から出て来る。

 亜紀さんは和やかな表情で、クラスメイトに別れの挨拶をしている。


「!」


 亜紀さんがクラスメイトから、廊下の方へ視線を向けた時。

 俺の存在に気付き、少し驚いた表情を見せる。


 だけど、直ぐに澄ました表情に戻って、亜紀さんは俺の方へ近付く。

 亜紀さんは澄ました表情で、俺に話し掛けた。

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