第384話 放課後 その2

(……自動販売機も遂に、冬仕様に変わったか!)


 自動販売機には冷たい缶コーヒーも売っているが、温かい缶コーヒーも売り始めている。


 季節は確実に、冬へ向かっている。

 自動販売機の商品を見ながら、俺は季節を実感した。


『ガコン!』


 今日はまだ、それほど寒くないので、俺は冷たい缶コーヒーを買ってから、自動販売機からベンチゾーンに向かい、見晴らしの良さそうなベンチに腰掛ける。

 ベンチは数多く周辺に設置されているが、放課後の時間帯なので、そのベンチに座っているのは俺ぐらいで有る。


 俺は16時半付近まで、このベンチで時間を潰してから、特進コース教室に向かうことを決める。

 しばらくは休憩タイムだ!


『カシュ!』


 缶コーヒーのプルタブを開け、俺は缶コーヒーを飲み始める。

 砂糖・ミルク入りの缶コーヒーなので、コーヒーの甘さとミルク感を感じて美味しい!


「ふぅ~~!」


 三分の一ぐらい缶コーヒーを飲んでから、俺は軽いため息を吐く。


「良い時間帯だな……」

「秋らしい青空だ…!」


 俺は穏やかな表情で呟いてから、再び缶コーヒーを飲み始める。

 空は真っ青の青では無く、淡い水色と言えば良いだろうか?

 秋の空らしい色合いで有る。


 ……少し遠くの空には、夕方の前兆が見え始めている。

 だが、今日は気温が結構有るため、涼しさよりも暑さを感じる。


「……」


 俺は缶コーヒーを飲みながら、秋空を楽しむ……

 缶コーヒーを飲みながら、俺は秋空を楽しんでいると急に声を掛けられる!?


「兄ちゃん!♪」


「?」

「!!」


「うおぉぉ~~~!?」


 なんと、俺のほぼ真横に虹心が立っていた!?

 何時の間に現れた!??


 俺は驚きの声を上げてしまう!///

 だが虹心は、和やかな表情で俺に話し始める。


「びっくりした。兄ちゃん?♪」

「兄ちゃん…。お空に夢中に成っていて全然、私に気付かなかったからね!♪」

「秋空を見て……伊藤さんのことでも想っていた?♪」


「虹心…///」

「急に声を掛けられたから、びっくりしたよ!///」


「うん……いい空だなと思ってな!」

「伊藤さんのことは……想っていないが!?///」


 俺は少し頬を染めて、驚いた表情で言うが、後半の文章は“とぼけ”ながら言う。

 けど、虹心は表情を変えずに言葉を続ける。


「また、また~~♪」

「帰宅部の兄ちゃんがそんな所に居ると言うことは、まだ学園に居る必要が有るから其処に居るんでしょ!♪」


「其処から推測すれば、伊藤さんしか思い浮かばないからね!!♪」


(相変わらず、洞察力の鋭い虹心だな…)


「うん…。虹心の言う通りだ///」

「この後…。俺は伊藤さんと会う予定が有る///」


 俺は少し頬を染めて、恥ずかしそうな表情で虹心に言う。

 虹心は穏やかな表情で、俺に話し始める。


「やっぱり、そうか!」

「でも、昨日の今日で早速行動が有るとは、伊藤さんもかなり兄ちゃんを意識している感じだね!!」


「前向きに捉えればそう成るな…」

「でも、相手が伊藤さんだから、会ってみないと分からないんだ///(汗)」


 俺は困った表情で虹心に言う。

 亜紀さんは優しい人で有るが、同時に冷酷な人でも有る。


「……」


(中等部の虹心が、高等部の敷地に居ると言うことは、虹心はこれから部活なんだろうか?)


 虹心の部活動で有る、演劇部は高等部旧校舎に有るからだ。

 俺は穏やかな表情で、虹心に話し掛けた。

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