第377話 虹心の部屋を尋ねる

 虹心は現在。小鞠ちゃんの家へ遊びに行っている。

 俺はそんなことを虹心から聞いていなかったので、母親に詳細を聞いてみた。


 母親が言うには、普段は三國家が小鞠ちゃんを持て成しているから、時にはお返しをしたいと……小鞠ちゃんの母親が俺の母親に言って、急遽実行したらしい。

 小鞠ちゃん同様。小鞠ちゃんの母親も真面目な人なんだろう!


(……虹心にデートの報告や、お土産(ポストカード)を渡したかったが後で良いか!)


 俺は母親から詳細を聞いた後は自室に戻り、後は普段通りの時間を過ごす。

 と言っても、間もなく晩ご飯の時間で有るが!///


 ……


 その日の晩ご飯は父親と虹心を除く、三人で食事を摂る。

 母親、兄(航平)、俺の三人で有る。


 虹心が晩ご飯の時間に居ない時なんて、修学旅行や野外活動キャンプ以外では無かった。

 もしかして、これが初めてだろうか?


 晩ご飯のメニューも、虹心の手伝いが無かった影響か”おかず”が一品少ない。

 そして、虹心はこの家のムードメーカーで有るから、虹心が居ない晩ご飯の時間は楽しいではなく、淡々と過ぎていく……


「もぐ、もぐ、―――」


「ズズッ、……」


「ポリ、ポリ、―――」


(静かな晩ご飯だな…)

(虹心が居ないだけで、これだけ空気が変わるんだ!?)


 台所のテーブルから聞こえる音は、食器の音と咀嚼そしゃく音だけで有る。

 俺と兄は会話が弾む関係では無いし、母親も必要なこと以外は喋らない。

 まるで、ドラマに出て来るような、冷えた家庭のように見えてしまう!///


 俺は改めて、三國家での虹心の存在を確認した!?

 もし、この家に虹心が居なかったら、俺の人生は大きく変わっているだろう!///


 ☆


 晩ご飯後も、何時も通りの時間を過ごすが、俺は普段より早く自室に戻る。

 なんと言うか……俺はかなり、虹心を意識してる。


 虹心が居るから、今の生活が楽しいと感じるし、この家で安らぎを感じる!

 きっと、母親や兄も、そう思っているだろう?


 ……


 俺は自室に戻って……1時間位時間が経過した時。

 虹心の足音だと思われる音が、階段を上ってくる。


『トン、トン、―――』


(虹心が帰って来たか…!)


 今の時刻は、22時を過ぎた時間で有る。

 明日は平日で有るが、この時間ならまだ、虹心の部屋を尋ねても問題ないだろう。


(お土産も渡したいし……今から、虹心の部屋へ行くか!)


『パタン!』


 俺がそう思っている間に、とある部屋のドアが閉まる音が聞こえる。

 この音は虹心の部屋で間違いないだろう。

 兄で有ったら、俺の部屋の前を通過する足音が聞こえるからだ。


「よし! 虹心の部屋に行こう!!」


 俺は一人喋りをした後。お土産が入った紙袋を手に持って、自室から虹心の部屋向かう。


『コン、コン、―――』


「虹心!」

「俺だけど……」


 虹心の部屋ドアをノックしながら、俺は落ち着いた口調で言う。

 俺の動作と言葉で、虹心が部屋向こうから落ち着いた口調で応答する。


『んっ……兄ちゃん?』

『ちょっと待ってて……今、着替え中だから!』


「……分かった!」


 今日は普通に、小鞠ちゃんの家へ遊びに行っただけで無く、小鞠ちゃんの家で晩ご飯もご馳走に成っている。

 虹心も女性だから、おめかしをして小鞠ちゃんの家に行ったのだろう?


『良いよ。兄ちゃん!』

『着替え終わったから、入って来て良いよ!♪』


「じゃあ、虹心……入るぞ!」


 虹心の着替え終わったらしく、ドア向こうから陽気な口調で俺に向けて言う。

 俺も陽気な口調でドア向こうの虹心に言って、虹心の部屋のドアを開けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る