第375話 電車内で告白!? その3

「あ~~。夏休み直前は、そう呼んでいましたね…///」


 俺は、顔を少し上に向けながら伊藤さんに言う。


「だよね!」

「ごめ~ん……武蔵君!///」

「間隔空きすぎて、すっかり名字読みしていたよ!///」


 伊藤さんは普段見せない、少し頬を染めた困った笑顔で言う。

 困った笑顔でも……伊藤さんは可愛い!///

 伊藤さんは和やかな表情で、俺に話し始める。


「それでさ、三國君では無く……武蔵君!」

「私は名前で呼んでいるのだから、武蔵君もそろそろ、私のことを名前で呼ばない?♪」


「!!///」


 俺は伊藤さんの言葉に驚く!!

 俺とは関係を深めない割には、関係を深めさせようとしてくる!?

 優等生の考えていることが、俺には理解出来なかった!?


「えっと……それは、伊藤さん///」

「今から、伊藤さんでは無く……亜紀さんと呼べば良いのですか!?」


 俺は恐る恐るの表情で、伊藤さんに伺う。

 だが、伊藤さんは澄ました表情で俺に言い始める。


「武蔵君は男性だから、別に……亜紀でも良いよ!」

「却って、亜紀さんや亜紀ちゃんだと……なんか嫌!」


(そうは言われても……まだ、俺と伊藤さんは恋人関係で無いのに、亜紀とは呼び捨てしにくいぞ!///)


 俺が唯一、呼び捨てで呼んでいるのは、妹の虹心だけで有る。

 虹心は俺の妹だから、俺が物心付いた時から呼び捨て呼んでいる。


 だけど、伊藤さんは同級生で有るが、学年一の美少女で有る。

 伊藤さんを学園内で呼び捨てで呼んだら、俺は学年内の男子を敵に回すだろう!?


「いっ、伊藤さん…。俺と伊藤さんはまだ付き合っていないので、伊藤さんを呼び捨てにするのは抵抗が有ります!///」


 俺は困った表情で伊藤さんに言う。

 すると、伊藤さんは『仕方ないな』の表情で俺に言い始める。


「なら……亜紀さんで良いよ!///」

「亜紀さんなら、武蔵君も呼べるでしょう!!」


「はい……亜紀さんなら、大丈夫そうですね…///」


 俺は納得した表情で伊藤さんに言う。

 伊藤さんは穏やかな表情で、俺に言い始める。


「なら、武蔵君!」

「今からは、下の名前で呼んでね♪」

「名字で呼んでも、これからは無視をするから!♪」


「はい…。分かりました。いとうでは無く亜紀さん!///」


(なんか……調子狂うな!(汗))

(亜紀(伊藤)さんは俺を、桃香ちゃんのように扱いだした!///)


(それだけ、また一歩亜紀さんと、関係が深まったのか!?)


 俺は少し恥ずかしそうな表情で、亜紀さんに言うと同時に心の中で思う。

 亜紀さんは澄ました表情では無く、穏やかな表情で俺に話し始める。


「……よろしい!」

「さっき話した通り。彩織は松田君と付き合い始めた!」


「私も……武蔵君との関係は、前向きに考えるべきだろう…!」

「だけど、もうしばらく時間を頂戴!!」


「彩織が松田君と付き合い始めたからと言って、私が武蔵君と素直に付き合えるわけでは無いと思うから…!」

「彩織も面倒くさいけど、彩織の彼氏に成った松田君も厄介な人なんでしょ!」


「……」


(亜紀さんは、学年一の美少女だからな!)

(二村が仮に許しても松田や学年連中が、許さない場合も有る!)

(なんせ、スクールカースト底辺が、学年一の美少女と付き合うのだからな!///)


 人の恋路に邪魔をするなと言いたいが、邪魔をしてくる奴は邪魔をして来る!

 キッドこと川本や、川本の右腕で有る信濃は、亜紀さんに興味を感じていないと思うが、他のDQN達は分からないし、松田とそのグループが妨害してくる可能性も十分に有る。


「後ね……武蔵君!」

「メールやRailの遣り取りは、今まで通りでお願いね!」

「彩織に関する相談は、もう無いと思うけど……」


 亜紀さんは、困った微笑み表情で俺に言う。

 やはり、学年一の美少女は難攻不落だな……


 これが、陽葵先輩に成るともっとハードルが上がるから、何でも身分相応が大事だな!?///

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