第371話 合流

「……(汗)」


(この青年雑誌は中々、暴力描写が凄いな……(汗))


 俺は、とある青年雑誌を立ち読みしている。

 普段読んでいる青年雑誌も暴力描写が有るが、今立ち読みしている青年雑誌は、少年向けでは無いぐらいの暴力描写で有る。


 青年雑誌は過激なシーンや濡れ場が多いから、桃香ちゃんの前で立ち読みするのは良くないが、雑誌表紙は普通なので問題は無い??

 それに、俺と桃香ちゃんとの距離はかなり離れている。


 ……


 俺が青年雑誌を立ち読みしていると、桃香ちゃんは読みたい立ち読みを終えたのか、俺の側に近付いてくる。

 桃香ちゃんは俺に何か、言いたいことでも有るのだろうか?


「……三國さん!」

「今。お姉ちゃん(伊藤)から連絡が有って、参考書を買い終えたって!!」

「それで、最初に入った出入り口付近で待っているだって!!」


 俺の側に来た桃香ちゃんは、和やかな表情で言う。

 参考書を買い終えた伊藤さんが、桃香ちゃんに連絡を入れたらしい。


「……それはありがとう。桃香ちゃん!」

「じゃあ、陽葵先輩たちの元へ戻ろうか!!」


「うん♪」


 俺は笑顔で桃香ちゃんに言うと、桃香ちゃんも笑顔で返事をする。

 だが、俺は心の中で一つの疑問を感じる。


(伊藤さんは、妹で有る桃香ちゃんには連絡を入れたが、俺の方には連絡を入れていないだろう?)


 俺のスマートフォンはマナーモードにして有るが、着信などはバイブにして有る。

 だが、俺はスマートフォンからのバイブを一切感じていない!


 俺は立ち読みしていた青年雑誌を本棚に戻し、桃香ちゃんと一緒に陽葵先輩と伊藤さん居る場所に向かう。


「……」


「……」


 俺は桃香ちゃんとの移動中の間。ポケットからスマートフォンを取り出し、伊藤さんから何か連絡が入っているかを確認してみる……

 俺と伊藤さんは、お互いの連絡先を知っている関係だから、入っていてもおかしくはない。


(うん…。やっぱり伊藤さんから来ていないな!)

(伊藤さんは、俺のことを忘れているのか!?)


 俺は心の中で感じながら、桃香ちゃんと一緒に陽葵先輩と伊藤さんの元へ向かった。


 ……


 桃香ちゃんと一緒に居たコミックコーナーから、陽葵先輩と伊藤さんが居る場所には1分位で到着する。

 本屋さんを出たところに、陽葵先輩と伊藤さんが立っていた。


「あっ。亜紀ちゃん!」

「桃香ちゃんと……三國君も、一緒に来ているよ!♪」


 俺と桃香ちゃんを見付けた陽葵先輩は、笑顔で伊藤さんに言っている。

 伊藤さんは澄ました表情で、陽葵先輩に言い始める。


「やっぱり……三國君も居たか!」


 伊藤さんの落ち着いた口調が、少し距離が離れているが聞き取れてしまう!

 まるで伊藤さんは、俺の行動を予測していた様だ!?


「お姉ちゃん!」

「戻って来たよ!!」


 陽葵先輩と伊藤さんの元に着いた桃香ちゃんは、和やかな表情で伊藤さんに言う。

 伊藤さんは穏やかな表情で、桃香ちゃんに話し掛ける。


「桃香も、コミックが買えたようだね!」

「なら、お家に帰りましょうか!!」


「うん♪」

「お姉ちゃん!♪」


 伊藤さんの言葉で、元気良くうなずきながら言う桃香ちゃん。

 桃香ちゃんの言葉の後。俺は質問をする表情で、伊藤さんに質問をする。


「伊藤さん…。どうして俺が、桃香ちゃんと一緒に居るのが分かったのですか?」


「……分かるも何も、三國君の行動パターン何て誰もが分かるよ!」


 伊藤さんは、澄ました表情で俺に言う!

 なにか……しゃくに障る言い方だな!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る