第370話 駅前の大型本屋 その3

(さっきのは……まぁまぁ面白かったけど、この小説を買いたいまででは無いな!///)

(仮に、ミッドウェー海戦で日本海軍が勝利出来ても、必ず米国が、和平交渉の席に着くとは限らないからな!)


(仮に、米国を和平交渉の席に着かせたければ、ハワイの占領が必須だと、帝大数学の天才者が言っていた……)


 俺はそんな事を思いながら、陽葵先輩と伊藤さんの元へ戻る。

 行きは、寄り道や歴史コーナーを探しながら行ったので時間が掛かったが、帰りは数分で、陽葵先輩と伊藤さんの元に戻る。


 ……


「―――」


「―――」


 俺は二人の側に来たが、二人は真面目な表情で、参考書を手に持って会話をしている。

 争いの会話では無く、摺り合わせと言うべきだろうか?


 そして、お互い真剣なのか、俺が側にいるのに気付いてくれない!///


(この感じでは、まだまだ参考書選びに時間が掛かりそうだ……)


 俺は二人に声を掛けることは無く、陽葵先輩と伊藤さんの側から再び離れる。

 俺が二人の側から離れても、声は掛けられなかった。


 また、歴史コーナーに行っても仕方ないので、今度はコミックコーナーの方に行って見ることにする。

 この本屋のコミックコーナーは、俺たちが入った出入り口側に有るので、場所は分かっている。


 俺がコミックコーナーに向かって歩いていると、そのコーナーから戻って来る桃香ちゃんを見付ける。


「あっ! 三國さんだ!!」


 桃香ちゃんも俺と同じように俺を見付け、俺が声を掛ける前に、桃香ちゃんから和やかな表情で声を掛けられる。

 桃香ちゃんは俺の側に来てから、その表情で話し始める。


「三國さんも、コミックを買いに行くの?」


「いや、俺は……買いに行くのでは無く時間潰しで…!」


 俺は桃香ちゃんに穏やかな表情で言うと、桃香ちゃんは尋ねる表情で聞いて来る。


「……お姉ちゃんたち。まだ、参考書選びしているの?」


「うん。そう…!」


 俺は澄ました表情で、桃香ちゃんに言う。

 桃香ちゃんの手には紙袋を持っており、コミックを買い終えて戻る途中、俺と出会ったのだろう。


「そうなんだ!」

「じゃあ、まだ、時間は有りそうだね!!♪」

「ありがとう。三國さん!!」


 桃香ちゃんは何故か笑顔で俺に言った後。体の向きを変えて、来た方向へ戻って行く?

 まだ時間が有るのが分かったから、コミックコーナーへ桃香ちゃんは戻って行くのだろうか?


(俺も暇だし……桃香ちゃんの後を付いて行くか!)


 俺は桃香ちゃんの後を付いてくのを決め、桃香ちゃんの後を追う。

 桃香ちゃんは普通に歩いている為。直ぐに追い付くことが出来る。


「……」


「……」


 俺は桃香ちゃんの側に来たが、桃香ちゃんは俺に話し掛けることは無く、無言でコミックコーナー(多分)に向かって行く。


 ……


 俺の予想通り。桃香ちゃんはコミックコーナーに来たが、単行本が置いて有るコーナーには向かわず、漫画雑誌類が置いて有るコーナーに行き、桃香ちゃんはとある雑誌を手に取って、立ち読みを始める。


「~~~♪」


 桃香ちゃんは和やかな表情で、4コマ系雑誌を立ち読みしている。

 俺は青年雑誌を定期購読しているが、4コマ系雑誌は余り読まない。


 4コマ雑誌は面白いけど、4コマ雑誌を買えるほど小遣いに余裕が無い。


(此処で単行本を買うつもりは無いから、俺も適当に青年雑誌の立ち読みをするか!)


 俺は定期購読以外の青年雑誌を手に取って、立ち読みを始める。

 俺は今。近くに居る桃香ちゃんと立ち読みをしている……

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