第306話 突然の呼び出し!?

「しかし、三國君には、可愛い今日香ちゃんが居るからね~~♪」

「相手を好きに成るのも大事だけど、相手から好かれるのも大事なんだよ!♪」


「三國君!!」

「私から今日香ちゃんに『跡継ぎのことも大事だけど、相手の気持ちを知るのも大事だよ』と、言って上げるからね!!」


「……あっ、はい///」

「ありがとうございます。真優美さん…///」


 嬉しそうな表情で言う真優美さん。

 しかし、俺は作り笑顔で真優美さんに言う。


(やっぱり真優美さんは俺を、陽葵先輩に近付けたくは無さそうだな…)

(真優美さんも今日香ちゃんでは無いが、喫茶店の跡継ぎ候補を意識しているのだろうか??)


(だけど、真優美さんだってこれから結婚をするのだから(?)、跡継ぎ問題に陽葵先輩は関係ないよな!?)


 ……


 その後も、しばらく真優美さんと雑談を楽しんだが、陽葵先輩が再度リビングに顔を見せること無く、俺は真優美さんとの相談兼雑談を終える……

 真優美さんとは楽しい時間を過ごせたが、陽葵先輩とは不発に終わってしまった……


「気を付けて帰ってね!」

「三國君!!」


「あっ、はい。ありがとうございます。真優美さん!」

「お茶もごちそうさまです!!」


 玄関で、真優美さんと別れの挨拶をしてから、俺は真優美さんの家から出る。

 お互い、和やかな雰囲気で別れの挨拶が出来た。

 けど、陽葵先輩は出て来なかった……


(今の時刻が18時前だから、門限は大丈夫そうだな!)

(何か言われたら、定番のア○メイトに寄っていたと言えば良い!?)


 俺は歩きながらスマートフォンで時刻を確認して、そんな事を思いながら帰路に就いた。


 ☆


 ……


 今日香ちゃんへの仲介役を真優美さんに頼んでから、しばらくの時が過ぎた。


 そんなある日の休日の午後。

 俺は午後の休日を自室で寛いでいると、スマートフォンからRailの着信音が鳴る。


『~~♪』


(珍しいな…。高岡からか…?)


 俺は心の中でそう思いながら、机に置いて有るスマートフォンを手に持って、操作を始める。


「真優美さんからか……何だろう?」


 俺は呟きながら、Railの着信メッセージを確認する。


『こんにちは。三國君!』

『以前。三國君と約束した、三國君の気持ちを今朝、今日香ちゃんに話したのだけど、今日香ちゃんが改めて三國君とお話をしたいんだって♪』


『それでね……凄く急だけど、今日の18時に私の店に来てくれないかな?💦』

『三國君の知っての通り。今日香ちゃんは勢いの有る子だから、今日中に三國君とお話がしたいんだって!』


『それで、本当に悪いけど、その時間にお店へ来てくれるかな??』

『多分遅く成る筈だから、帰りは私の車で三國君の自宅まで、送ってって上げるからさ(>_<)』


「…………」


 俺はその文書を読んで、しばらく無言に成る。


(今日の18時からか……夕方から、真優美さんお店に行きたくは無いよな…)

(おまけに今晩は父親以外の全員がいるし、それに明日は学園の日だ!!)


 真優美さんから事実上の呼び出しで有るが、俺はその呼び出しに応えるか迷ってしまう。

 18時から、真優美さんお店で今日香ちゃんと話し合いを始めても、数分で終わる物では無いだろう……


(家族との食事が一緒に摂れないのは良いとして、母親や特に虹心がどう言ってくるかだな……)

(真優美さんに返信を送る前に、夕方から出掛けることの許しを、母親から貰わないと行けないな!///)


 俺は不良少年では無いので、夜や深夜に勝手に出歩く子では無い。

 夕方に近所のコンビニへ行く時も有るが、今回の場合は事情が違う。


(俺はもう高等部生だから、夕方から出掛けても文句は言われないと思うが、根掘り葉掘りは聞かれるだろうな……)


「ふぅ!」


 俺は軽い溜息を吐いた後、母親が居るリビングに向かった。

 母親は詮索せずに、俺の外出許可を出すのだろうか?

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