第307話 鬼と子鬼 その1
俺は自室を出て、階段を降りて、母親が多分居るリビングに向かう。
母親が日勤で有ったら、これを母親代わりの虹心に言うのだが、虹心だと更に面倒くさく成りそうだな!!///
『ガチャ!』
俺はリビングのドアを開くと、母親はソファーに座ってテレビを見ているが、都合悪く虹心も一緒に居て、母親と一緒にテレビを見ている。
テレビ画面には、刑事物のドラマが流れている。
俺がリビングに入って来たのを二人共気付くが、母親では無く虹心が、澄ました表情で声を掛けてきた。
「んっ。どうした、兄ちゃん!」
頭の回転が良い虹心は俺の表情を見て『何かを言いにきた!』と察したのだろう。
俺は虹心では無く、テレビを見ている母親に澄ました表情で話し掛ける。
「……母さん!」
「夕方……ちょっと、急に友達と逢うことに成ったから、出掛けてきても良い?」
「……夕方?」
「別に構わないけど、誰と逢うのよ?」
「あんたの親友に、夕方から逢うような親友は居ないでしょ?」
母親は俺の方へ顔を向けずに、テレビを見ながら落ち着いた口調で言う。
「えっと、母さん。……新しく出来た後輩と逢うんだ!」
「その子。アルバイトをしているから、その時間じゃないと逢えないんだ!!///」
「!」
嘘を付いても仕方ないので、俺は今日香ちゃんのことを簡潔的に母親へ話す。
だが、そのキーワードで賢い虹心は『あっ!』の表情をする。
俺が夕方。今日香ちゃんと逢うのを虹心に知られてしまっただろう。
此処で母親は俺の方に顔を振り向かせて、澄ました表情で言い始める。
「…武蔵はもう高校生だから別に厳しい事は言わないけど、明日は学園なんだから、遅くても21時までには帰って来るんだよ!」
「それで、晩ご飯どうする?」
「家で食べる? それとも、その逢う子と一緒に食べてくるの?」
「母さん…。晩ご飯は家で食べるよ!」
「其処まで、遅くは成らない筈だと思うから…」
「そう…」
「なら、気を付けて行ってきなさい…」
俺は少し困った表情で母親に言う。
けど、母親は理解した表情で言う。
母親の方は攻略出来たが直ぐに虹心が、眉をひそめながら強めの口調で俺に言ってくる。
「兄ちゃん……それって、新倉先輩でしょ!」
「何時の間に関係を深めたのよ!!」
「あら?」
「虹心は知っているの?」
当たり前だが、虹心の言葉で反応を示す母親。
虹心は澄ました表情で、母親に言い始める。
「ほら! お母さん!!」
「私がこの前。ケーキを買いに行ったお店の子だよ!!」
「私がお母さんにケーキを渡した時に聞いてきたでしょ!!!」
「珍しく、兄ちゃんが新倉先輩から好かれたんだよ!!」
「鈍くさい兄ちゃんを、何故か好いたんだよ!!」
「あ~~。そう言えば、虹心がそんなこと言っていたわね!」
「武蔵…。虹心の言う通りか?」
納得した表情で虹心に言っている母親で有るが、急に母親は険しい表情に成って、俺に聞いてくる!!
オマケに虹心は、さり気なく人を小馬鹿にする。
これでも、俺の事を好きと言う妹だから、良く分からん!!
(あ~~。虹心の野郎!)
(余計なことを言いやがって!!)
俺は心の中で憤慨するが、困った表情で母親に言い始める。
「うん……虹心の言う通りだよ。母さん…」
「…………」
「…………」
俺の言葉の後。母親・虹心共に真剣な眼差しで俺を見つめ始める!?
何で、そんな目線で俺を見るの??
「あんたが、その後輩に何をしたかは大体察しが付くけど、穏便に済ませてくるんだよ!」
母親は悟った表情で俺に言う。
どうして、俺がヘマをした事が分かるの??
虹心は母親に、俺の恥部を全て話しているのか!?
そうで無ければ、こんな事は言えないぞ!!
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